【研究期間全体の実績】訪問看護師が主導する慢性疾患患者の在宅エンドオブライフケアプログラムの開発に向けて、以下の手順で実施した。第1段階は、訪問看護師を対象としたインタビュー調査により、終末期にある慢性疾患の在宅療養者と家族に対する訪問看護師の支援内容および実践上の困難を明らかにすることである。特に、がん疾患と非がん疾患では、死までの軌跡が異なることから、終末期の話し合いのタイミングの様相に違いがあると仮説し、分析する。第2段階は、インタビュー調査の結果から、訪問看護師が「終末期の話し合い」を実施するタイミングを適切に評価するための尺度を作成することである。第1段階は、23名の訪問看護師にインタビューを実施した。分析の結果、訪問看護師は、がん患者の「疾患経過に伴う症状の悪化」、非がん患者の「日常生活動作の低下」と異なる軸をもって、終末期の話し合いのタイミングを捉えていた。一方、訪問看護師は、患者だけでなく、家族介護者の心身の負担が増加したタイミングでも終末期の話し合いを実施しており、がん・非がんともに共通していた。第2段階は、がん患者を対象としたインタビュー結果と文献検討から、41項目からなる「在宅がん療養者への終末期の話し合いのタイミング評価尺度(原案)」を作成した。そして、93名の訪問看護師を対象とした予備調査の結果、21項目が導かれ、本調査の結果、最終的に17項目が抽出された。 【最終年度の実績】第2段階の本調査である。予備調査の結果を基に、234名の訪問看護師を対象とし、調査を実施した(層別無作為化抽出)。最終的に抽出された17項目の信頼性および妥当性は統計学的許容範囲内であることを確認した。今後は、開発された尺度を用い、訪問看護師が適切なタイミングで終末期の話し合いを実施できる介入指針を策定することである。
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