研究課題/領域番号 |
20K19292
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
鍋島 純世 椙山女学園大学, 看護学部, 助教 (60634631)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 訪問看護師 / 難聴高齢者 / プログラム |
研究実績の概要 |
本研究は、訪問看護師の的確な難聴の把握および看護援助を促進するために「訪問看護師を対象とした難聴高齢者支援研修プログラム」の構築とその効果を明らかにすることを目的としている。 本年度(2020年度)は、まず訪問看護師を対象として事前実施した「訪問看護師の補聴器推奨の現状と難聴高齢者との会話における困難と工夫」について総括し、論文投稿した(日本在学看護学会誌、9巻1号に採択済み)。その中で、訪問看護師は日々のケアの中で難聴を判断できる能力を持っていることが示唆された。そして、補聴器の推奨経験がある者は約4割存在し、難聴を判断するだけにとどまらず難聴者に補聴器を推奨する理由や補聴器の効果などについて訪問看護師に情報提供することは、難聴対策において今後訪問看護師の新たな役割の発掘につながる可能性が示唆された。 この結果をふまえて、「訪問看護師を対象とした難聴高齢者支援研修プログラム」の試案を作成した。プログラムの内容には、加齢性難聴の理解、補聴器の理解として、加齢性難聴に対して関わる必要性や補聴器を推奨する理由と方法などを含めた。さらに、加齢性難聴のスクリーニング方法の理解と習得、難聴高齢者との効果的なコミュニケーションの理解と習得のため、講義及び演習資料を作成した。ただし、COVID-19(新型コロナウイルス)感染予防対策のため、対象となる訪問看護師に一同集合してもらい講義・演習を実施することが現実的に困難と判断されたため、講義内容は動画資料としてUSBを媒体に作成し、演習は少人数制での開催とした。 1施設にて、プレテストを実施し、動画資料や演習の量や内容、質問紙の文言など必要箇所の加筆修正を行い校正した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度(2020年度)の研究計画スケジュールは、「難聴高齢者支援研修プログラム」の作成として、「難聴高齢者に対する訪問看護の実態整理(訪問看護師の補聴器推奨の現状と難聴高齢者との会話における困難と工夫について)」および「難聴高齢者支援研修プログラム試案作成」、「研究倫理審査受審」、「プレテスト実施」であった。 上記スケジュールは、予定通り実施することができており、次年度の「難聴高齢者支援研修プログラムの評価に関する調査」に向けておおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
「難聴高齢者支援研修プログラムの評価に関する調査」として、「難聴高齢者支援研修プログラム受講」および「4回の質問紙調査」から構成される半年間の研究調査に承諾いただける訪問看護ステーションに所属する訪問看護師に対し調査を進める。 研究者所属大学の在宅看護学実習施設や一般社団法人訪問看護ステーション協議会施設会員などを皮切りに、スノーボール方式で研究協力者の確保に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19(新型コロナウイルス)の全国的感染の広がりによって、予定していた学会への参加がオンラインとなったため、旅費での計上が大幅に減少した。また、「難聴高齢者支援研修プログラム」の演習時に使用するオージオメータは、演習の参加人数の制限により2台購入予定を1台としたため、物品費での計上も減少した。 ただし、翌年度において「研修プログラムの評価に関する調査」に協力いただける研究協力施設や研究協力者が予定数より増加する見込みがあり、研究協力施設への交通費や研究協力者への謝金に対しての支出として使用する予定である。 COVID-19(新型コロナウイルス)の感染状況によるが、学会が開催される場合は、予定通り学会参加および学会発表も実施予定であり、旅費として支出を予定している。
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