研究課題/領域番号 |
20K19294
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
山本 さやか 日本福祉大学, 看護学部, 助教 (50760344)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 認知症看護 / エンパワーメント / リハビリテーション看護 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、回復期機能をもつ病棟に入院する認知症高齢患者を対象としたエンパワーメント評価ツールを作成し、その影響要因を明らかにすることである。2020年度の文献検討では、国内外における回復期病棟の認知症ケアの実施状況と取り巻く環境について回復期病棟の看護師や他職種に関する研究の概要を明らかにすることであった。国内では、高齢者におけるエンパワーメントに関する研究は2000年以降散見されたが、認知症高齢者に焦点を当てた研究は少なく、院内での取組みやケアの一部に関する内容に留まっていた。また、病院に入院中の認知症高齢患者のエンパワーメントに影響を及ぼす要因は評価の難しさからも明らかにされていなかった。国外文献では、文献検索の際のキーワード設定を適宜変更しながら進めているところであるが、独自の医療提供体制があるために研究の目的に沿った文献の選択に吟味が必要な状況である。2021年度は文献検討の結果をふまえて、デルファイ法にて回復期病棟の認知症ケアの専門家に回復期病棟の認知症高齢患者に生じる現象を調査することとなっているため、文献検討結果をまとめながら計画を進める予定である。次の段階では、看護師による患者評価を行い、評価ツールの項目決定とその妥当性の検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、国外文献検討を行った。国内文献からの知見はまとめることができているが、国外文献はわが国独自の医療提供体制があるために、研究の目的に沿った文献の選択に吟味を行っている。また、文献検討の他に、学会に参加し、認知症やリハビリテーション看護分野の情報収集を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の流行により、学会の学術集会に参加することができなかった。そのため、方法を検討して、専門家の最新の知見が情報収集できるようにしているところである。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、「回復期機能をもつ病棟における認知症高齢患者のエンパワーメント評価ツール」(以下、評価ツール)作成に向けて、国外文献の精査を行い、国内文献と合わせて内容を比較する。また、今年度はオンデマンドやオンラインでの学会学術集会が開催される予定であるため、参加して最新の知見を得られるようにしていく。次の段階では、デルファイ法による専門家への調査(調査1)および看護師による患者評価(調査2)を行う予定になっている。回復期病棟の認知症高齢患者に生じる現象を調査し、エンパワーメントの視点を明らかにすることにより、評価ツールを作成する。調査1では、学外の専門分野の専門家6名へのインタビュー調査、その後専門家会議を行う。調査2では、看護師による患者評価により、評価ツールの項目決定とその妥当性の検討を行うこととなっている。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大中での病院内調査の難しさもあるため、対象施設との調整を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度新型コロナウイルス感染症の拡大により、学術集会の参加方法が変更となったため見込み額との差が生じた。2021年度以降も、学術集会の参加方法がオンラインやオンデマンドでの参加となる可能性が高いが、最新の知見が得られるように引き続き学術集会等に参加する。さらに、コロナ禍においても専門家からの情報が得られるように、新型コロナウイルス感染症渦でも実施可能な方法にて会議を開催する。また、当初の研究計画にそって研究を進めながらも、感染予防対策をふまえた病院調査に向けて電子機器を用いて情報を集約できるシステムを構築強化し、研究を進める。
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