研究課題/領域番号 |
20K19308
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
仁木 一順 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (00712879)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知機能障害 / BPSD / 非薬物療法 / Virtual reality / 臨床試験 |
研究実績の概要 |
現在、認知機能低下やBPSDの進行を抑制しうる、安価で汎用性に優れた新しい非薬物療法の開発が切望されている。そこで本研究では、Virtual reality(VR)などの最新テクノロジーを用いた回想法と統合医療のハイブリッド型アプローチ(視覚・聴覚・嗅覚同時刺激)が、認知機能低下の進行やBPSDの抑制、介護者のQOLの向上に寄与できるのかを明らかにすることを目的としている。令和2年度は、軽度認知障害(MCI)の方を対象とした単施設におけるフィージビリティ―スタディを実施している。具体的には、介護施設利用者の内65歳以上の方で、ミニメンタルステート検査日本語版(MMSE-J)が27~24点を対象とし、被験者を介入群と無介入群(通常ケア群)に分類した2 群間並行ランダム化比較試験を行っており、現在も進行中である。目標症例数は両群とも20名と設定しており、現時点で介入群11名、無介入群20名が試験を終了している。令和2年度は新型コロナウイルスの影響で多くの介護施設で立入・利用制限がかかり、多くの研究が中断あるいは中止せざるを得ない中で、我々はICTを活用し、リモートでVR回想法を実施できるように急遽体制を整えるなど、できる限り工夫して臨床試験を遂行した。しかし、複雑な機器の同時コントロールには介護施設でのマンパワーが必要であったが、密をさけるなどwithコロナ時代のニュースタンダードを遵守した場合に、視覚・嗅覚・聴覚の同時刺激が困難であったため、本フィージビリティースタディでは主に視覚刺激の影響を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度は、新型コロナウイルスの影響で多くの介護施設で立入・利用制限がかかり、多くの研究が中断あるいは中止せざるを得ない中で、我々はICTを活用し、できる限り工夫して臨床試験を遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きフィージビリティースタディを継続するとともに、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえながら多施設における実証実験の準備をしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で、国内外の出張が難しかったため、次年度使用額が生じた。令和3年度は臨床試験の規模が大きくなるため、その被験者説明会等に必要な会場費あるいは、現在できていない、嗅覚、聴覚刺激の有用性を検討する費用として使用する予定である。
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