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2021 年度 実施状況報告書

成人吃音者におけるリハビリテーション効果とその改善要因に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K19319
研究機関北里大学

研究代表者

秦 若菜  北里大学, 医療衛生学部, 助教 (50448958)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード吃音 / リハビリテーション / リハビリテーション効果
研究実績の概要

吃音者の発話が流暢性スキルを用いた言語聴覚療法の実施前後でどのように変化するか明らかにすることを目的に、研究を実施した。対象者の発話を音響的な複数の指標を用いて、発話行動の変化を検証した。
今年度は、吃音者42名の治療前と3回の治療実施後の文章の音読を比較した。音声信号は、音響分析ソフトウェアPraatを使用して分析した。 読み始めから終わりまでを①調音部分(articulation)②ポーズ(pause)③吃症状部分(stuttering)の3つに区分し、調音速度、ポーズ数、ポーズの平均持続時間、吃頻度を算出した。
結果: 3回の治療実施後には吃頻度の平均が15.80%から0.72%へ有意に減少し、治療効果が確認された。また、調音速度が有意に低下した。ポーズ数が有意に減少し、文間ポーズ平均持続時間が有意に延長した。治療前の成績はポーズ数とポーズの平均持続時間の間に有意な相関が認められた。3回の治療実施後において、調音速度は文節間ポーズ平均持続時間との間に弱い負の相関がみられた。
結論:治療前の吃音者はポーズ数が多く短く途切れ途切れの発話であった。しかしながら、3回の治療後には1フレーズで発話できる長さが延長し、文間ポーズ平均持続時間が有意に延長したことから、発声運動に対するコントロール力が向上したと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では、今年度行った解析に加え、リハビリテーション終了後、一定期間経過した対象者に対して、リハビリテーションの効果がどの程度持続しているのか、また、リハビリテーション終了後に発話は変化し得るのかという点について検証する予定であった。2020年度に新型コロナ感染症拡大の影響を受け、教育業務など他業務に多大な時間を費やす必要があったため、研究業務に対して十分な時間をかけることができなかったため研究の遂行が当初予定より遅れていた。また、対象に対する当該施設への立ち入りが不可能になったことににより、研究計画の策定・研究準備に時間がかかり、参加者のリクルートも遅れている。そのため、今年度の実施内容にも影響が出た。

今後の研究の推進方策

今年度の実施内容は、主に、①研究手続き・流れ に関して関係部署内での調整、話し合い ②倫理審査申請準備 であった。今後は、倫理審査申請・承認後、対象者のリクルートを開始する。
吃音症状の測定は、ICレコーダーに録音した音声を音声分析ソフトを用いて音圧波形と広帯域スペクトログラムを表示の上、視覚的・聴覚的に確認しながら症状の頻度(%)と症状最長持続時間(ms)を測定する。
測定者は吃音の治療に直接関与しない言語聴覚士(研究代表者、研究協力者)。測定者には音声データの対象者やどのタイミングの評価であるかは伝えず、ブラインド化した複数の対象者の音声データをランダムに提示する。

次年度使用額が生じた理由

前年度(2020年度)は新型コロナ感染症拡大の影響を受け、研究業務に対して十分な時間をかけることができず研究の遂行が遅れため、当初予定より支出額が少なかった。当該年度(2021年度)はほぼ予定通りの支出を行ったが、各年度の計画内容の一部を次年度に繰り越して実施しているため、次年度使用額が生じた。
当初予定で2021年度に実施予定であった一部を翌年度に実施する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 成人吃音患者の自閉スペクトラム症傾向および注意欠如・多動症傾向と社交不安との関連2021

    • 著者名/発表者名
      吉澤 健太郎, 石坂 郁代, 安田 菜穂, 福田 倫也, 雪本 由美, 秦 若菜, 東川 麻里, 原 由紀
    • 雑誌名

      音声言語医学

      巻: 62 ページ: 24-32

    • DOI

      10.5112/jjlp.62.24

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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