研究課題
昨年度はコロナウィルス感染症の影響で後ろ倒しになっていた,健常高齢者を対象にしたデータ収集を再開して行った.健常高齢者のデータを収集する意図としては,基準となる測定値を設定することができ,患者の測定値から健常者との逸脱度を把握することができる極めて重要な過程である.しかし,地域に住む高齢者のデータを収集することは環境的に入院している患者のデータ収集よりも難しい場合がおおく,完了することができれば研究としての希少性も高い.昨年度中には計画当初の半分程度の出た収集が完了し,男性22名,女性27名が収集できた.データが不完全なため,解析の途中ではあるが,健常高齢者とDysarthria患者との違いとしては,Dysarthria患者の方が発話様式(ゆっくり,はやく,はっきりなど)での発話間の違いが明確でないことが特徴としてうかがえた.また健常高齢者と健常若年者との比較では,健常高齢者の方が発話様式間の違いが明確でないことが分かった.こちらの成果については現在発表準備中である.また,Dysarthria患者のみでの解析により新たな知見として,発話の自然さの程度が第2フォルマント遷移の変数のうち時間に関する変数がより関連度が強いことが分かったため,日本言語聴覚学会で口頭発表を行った.これらの成果は,第2フォルマント遷移の測定を行う際の検者の指示内容の設定と測定後の結果の解釈に新たな視点を加えるものであると考えられる.本研究テーマである本音響分析に適した文章の開発に貢献できるものである.
3: やや遅れている
当初は2023年度で完了する予定の研究であったがコロナウィルス感染症の影響で多くのデータ収集を後ろ倒しにせざるを得なかった.主に感染症後の合併症リスクの高い健常高齢者のデータが不足している.
感染後の合併症リスクの高い健常高齢者のデータ収集が不完全であり,1年延長して本研究課題の完了を目指す.
後ろ倒しになっていた健常高齢者のデータ収集のための謝金が使用できなかった.
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