研究課題/領域番号 |
20K19343
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松本 葉子 神戸大学, 保健学研究科, 保健学研究員 (70820257)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 日本語版CPCHILD運用 / QOL向上を目指した実践的取り組み / 国内の股関節脱臼、側弯症の現状 / 障がい児者における客観的QOLの評価法 |
研究実績の概要 |
本研究は、脳性麻痺等患者が幼少時から成人期まで受けてきた医療および福祉サービスと二次・三次障害の発生状況とを時間軸に沿って後方視的に調査し、現時 点での障害の程度、医療・福祉サービスの利用状況および患者・家族のQOLを評価することである。下記の2項目に分けて研究に取り組んでいる。 1、CPCHILDの日本への導入:患者や家族のQOLの評価法であるCPCHILDについて、本邦で使用可能となり複数の施設にて使用が開始されている。現在、CPCHILDのベースラインを日本と米国で比較検討しており、論文投稿準備中である。自身が臨床に従事する者として、QOLの評価法であるCPCHILDの導入だけでなく、障がい児のQOLを上げるために実践を通した取り組みを行っており、QOL向上をみた症例について論文投稿中である。 2、股関節脱臼および側弯症に対する日米間の比較:国内の股関節脱臼および側弯症の現状について、東京都立府中療育センターの長期入所者226名についてレントゲンによる情報収集を開始した。その結果の一部を2022年12月に横浜で開催された第33回日本小児整形外科学会学術集会にて発表した。本研究の主たる目的である比較検討をする上で、患者のマッチングは最重要項目である。患者のマッチング に必要な情報の選別、経時的変化の解析を可能にするためのデータシートの作成を行っている。作成している中で、ハーバード大学と共に、QOLをCPCHILDだけでなく客観的に評価する指標が必要であると考え、新たな指標の信頼性・再現性の調査に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症により診療体制が変わり、本研究に従事する時間が予定よりも激減したため、計画に遅れがでいる。本研究は多施設でデータを収集することになっているが、新型コロナウイルス感染症により他施設への往来が不可となっているため、データを収集をしに行くことができない状態である。CPCHILDの日本への導入に関しては、日本語版の再現性、信頼性を調査したものに加え、ベースラインを米国のものと比較することで、さらに価値ある論文を目指しているため投稿に遅れが出ている。データシート作成は、必要情報項目について、CPCHILDに加えて、客観的にQOLを測る指標を検討しているため、完成に遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
1、CPCHILDの論文投稿に向けて、米国とのベースラインの比較結果を加えて論文作成を行う。現在投稿中の論文はアクセプトされるように進める。 2、股関節脱臼および側弯症の日本の現状についてまとめ、論文投稿を行う。データシートに必要な項目である、客観的QOLを測る指標について、その信頼性および再現性を調査するため、日本および米国にてデータを収集する。 コロナウイルス感染症が5類感染症に移行しても、勤務施設や協力医療機関においては、厚生労働省から、従事者の就業制限を考慮する要請をされるなど、研究に従事する時間を確保することは引き続き困難な状況である。医療従事者として、新型コロナウイルス感染診療に全力で取り組みながら時間を捻出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に執行予定であった学会参加に関わる予算について、新型コロナウイルス感染症の蔓延により執行できなかった。国内施設とのミーティングにかかわる 旅費、データ収集に関わる費用についても、重症心身障害児施設という職場の特性上、往来が制限されており予算執行ができなかった。次年度については、新型コロナウイルス感染症の制限が緩和されるため、学会参加や、国内外のミーティングも開催する予定である。 現在2報の論文用データがあるため、人件費を執行し、分析、論文投稿を行う予定である。
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