研究課題
がん細胞に壊死を誘発する抗がん剤は、細胞壊死時にHMGB1の放出を促進する。 HMGB1は骨格筋にオートファジーを誘発し、筋萎縮を引き起こす。 磁気温熱療法(MHT)により、CT26マウス大腸癌細胞を移植したマウス皮下腫瘍を43℃で加熱することにより腫瘍細胞にアポトーシスを誘発した。対照的に、100℃加熱により腫瘍細胞に壊死が誘発がされた。100℃加熱では残存する腫瘍細胞の幹細胞性は変化しなかったが、43℃加熱では幹細胞性は低下していた。 腫瘍を取り巻く骨格筋について今冬を行うと、100℃加熱では骨格筋に顕著なオートファジー、ミオシン重鎖の減少、および高血清HMGB1を誘発した。これにたいし、43℃加熱ではHSP90の発現が亢進し、オートファジーの誘導は認められず、血清HMGB1濃度も低値であった。これらの所見は、43℃加熱による腫瘍の局所治療が、腫瘍に対しては抗腫瘍効果・抗幹細胞効果を示すとともに、骨格筋の萎縮を軽減することを示唆している。
2: おおむね順調に進展している
温熱療法の抗腫瘍効果と骨格筋保護効果の至適温度を見出すことができた。
今後は、温熱療法の骨格筋の代謝に対する効果を検討する。
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