研究課題
がん患者における心機能障害はがん患者の死因では第二位とされている。その原因として化学療法剤や分子標的薬の心毒性が重視されている。今回、チロシンキナーゼ阻害剤であるスニチニブ(SUN)とフェロトーシス促進が示唆されるプテロスチルベン(PTE)の併用が心筋に及ぼす影響を検討した。ヒト胃癌細胞株TMK1およびMKN74を用いヌードマウス皮下腫瘍モデルを作製した。心筋の評価はHE染色にて心筋細胞密度、左室断面積から心筋萎縮を検索した。結果は、心重量は両細胞株ともSUN投与で減少がみられPTEの併用で改善した。TMK1群では左室断面積、心筋細胞密度ともPTEの併用で改善しており心筋萎縮の予防効果がみられた。MKN74群ではPTE併用にて心筋細胞密度の減少が確認され心筋萎縮改善効果がみられた。SUNに対するPTEの併用による心筋障害抑制効果は、PTEによる心筋に対する直接効果とともに併用による抗腫瘍効果の促進が考えられた。一方で、PTE投与群では大腿四頭筋重量の低下は有意に改善されなかった。これらのことから、PTEの筋障害抑制作用機序には組織特異性が存在する可能性が示唆された。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
Oncotarget
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