研究課題/領域番号 |
20K19351
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研究機関 | 文京学院大学 |
研究代表者 |
鈴木 里砂 文京学院大学, 保健医療技術学部, 助教 (50781035)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 動作分析 / 習熟度 / 視線追跡 |
研究実績の概要 |
2020年度は,視線測定システム構築を行い,理学療法士の経験年数別 の歩行動画の視線軌跡記録を行い,臨床経験の長さの違いによる視線軌跡の変化を調査する予定であった.今年度は,まず,歩行動画を模擬片麻痺患者にて撮影しデータ収集用動画を作成,視線追跡のシステムを構築した.その後,理学療法士を実験協力者として募り,経験年数9年目以上,13名のデータを模擬片麻痺患者の歩行動画を閲覧した際の視線軌跡を視線追跡装置にて記録した.測定は,対象者に事前撮影した歩行動画(10秒間を2回)を閲覧させ,その際の視線軌跡を記録した.解析では,計測された2回分の視線軌跡を座標化し,その標準偏差を算出した. 経験年数別の平均X軸偏差,Y軸偏差は,9年目(16.5±0.4,83.3±6.5,N=4),10年目(25.7±7.6,85.3±3.8,N=3),11年目(13.9±2.7,83.5±9.6,N=4),13年目(23.1,96.6,N=1),21年目(18.0,99,6,N=1)であった.経験年数を重ねるほどY軸標準偏差は大きくなる傾向にあり,広範囲の視線追跡を行っていることが示された.また,経験年数10年がある程度の視線追跡範囲の習熟基準となると考えられるが,10年目に達している場合でも視線追跡の範囲が狭いケースも確認された.経験年数だけでは個々の技術差を明確にできないため,視線追跡結果のような定量的な判定も習熟度の指標となりうる可能性が高いと考えられる.専門分野の違いによる差異については対象者が少ないため継続して検討する予定である. 研究実績としては,日本地域・支援工学・教育合同理学療法学術大会2020にて,「理学療法士の動作分析時における視線追跡軌跡の経験年数による特徴」として経験年数の差異における視線追跡軌跡の違いについて報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い,医療関係者のリクルーティングや,データ収集のための移動が非常に難しい状況にあるためである.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては,感染リスクのないデータ収集方法に変更することで各経験年数層でのリクルート数を増やすことを実施する予定である.また,新型コロナウィルス感染拡大の影響で被験者数が少なくなったとしても,収拾できたデータ数にて詳細に結果を検討していくことも考慮している.そのため倫理審査委員会への再申請を予定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
視線追跡装置がなければ当該研究のデータ収集が困難であるため,初年度に購入した.また,新型コロナウィルス感染拡大のため,活動が難しく,学会もオンライン開催であったためその他の経費は使用しなかった.次年度は,感染リスクの低い方法でのデータ収集や,論文投稿にかかる経費を予定しているため,翌年度分に使用させていただきたい.
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