研究課題/領域番号 |
20K19359
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研究機関 | 中部学院大学 |
研究代表者 |
三川 浩太郎 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (20554611)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 慢性閉塞性肺疾患 / サルコペニア / 神経筋電気刺激療法 / 呼吸リハビリテーション |
研究実績の概要 |
令和4年度の研究課題は,令和3年度に引き続き,「神経筋電気刺激療法(neurormuscular electrical stimulation;NMES)がサルコペニア合併の慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)患者の骨格筋量の増加に有効であるか?」と設定した.令和3年度までに,外来通院中のサルコペニア合併のCOPD患者を対象とし,通常の呼吸リハにNMESを併用した12週間の呼吸リハを行い,NMESによる神経筋電気刺激に関連した有害事象は発生せず,安全にNMESを併用した呼吸リハを完遂できたことを確認した. 令和4年度は,上記の課題に対する研究対象者の登録を進め,データ収集を行った.対象は,外来通院中のサルコペニア合併のCOPD患者とし,通常の呼吸リハにNMESを併用した呼吸リハを行なった.NMESは,神経筋電気刺激療装置(G-TES1100,ホーマーイオン研究所)を用いて実施した.刺激強度は患者が耐えうる最大強度,刺激時間は20分間,周波数は20Hz(5秒on2秒offのduty cycle)とした.主要アウトカムは骨格筋指数(Skeletal Muscle Index; SMI)と下肢筋力とし,12週間の呼吸リハ前後で評価した.なお,SMIは,体組成計(Inbody470,インボディ・ジャパン)を用いて四肢骨格筋量を測定し,測定値を身長の2乗で除した値を採用した.下肢筋力の指標は,ハンドヘルドダイナモメーター(ミュータスF-1,アニマ)を用いて最大努力下での等尺性膝伸展筋力を測定し,測定値を体重で除した値を採用した.結果,骨格筋指数(ΔSMI)は+0.52kg/m2,下肢筋力(Δ等尺性膝伸展筋力)は+0.08%BWの改善を認めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初,令和2年度および令和3年度に遂行予定であった研究課題は,COVIT-19の感染拡大予防のため,予定通りに進めることができなかった.そのため,令和4年度以降にその研究課題が持ち越されている状況となっている.一方で,令和4年度は,研究のためのデータ収集を進めるができた.つまり,以上の点を総合的に判断した結果,現在までの研究の進捗状況としては「やや遅れている」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度の研究課題は,本調査として,「サルコペニア合併のCOPD患者に対する通常の呼吸リハにNMESを併用した呼吸リハの効果の検証」と設定する. 外来通院中のサルコペニア合併のCOPD患者を対象とし,その対象をランダムに対照群と介入群に分け,NMESの介入効果の検証を行う.対照群は通常の呼吸リハのみ,介入群は通常の呼吸リハにNMESを併用した呼吸リハを行う.令和5年度の上半期は,研究対象者の登録およびデータ収集を推進する.そして,令和5年度の下半期では,データ解析後,国内外における関連学会での発表や学術論文へ投稿し,成果報告を行っていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)令和4年度は,データ収集の遅延のためデータ解析まで十分に至らなかった.そのため,国内外における関連学会での発表や学術論文へ投稿できず,予算に計上していた学会参加にかかる費用や論文投稿にかかる費用を予定通り執行できなかった.上記の理由により,次年度使用額が生じた. (使用計画)この差額に関しては,国内外の関連学会において発表するための旅費,国内学術雑誌や国際学術誌への論文投稿費,研究協力者への謝金に使用する計画である.
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