本研究では,ヒト解剖体を用いた力学試験や有限要素シミュレーションによって,前腕部腱鞘炎に関する力学的負荷を解析可能な筋骨格シミュレーションシステムを構築した.シミュレーション解析より,筋収縮運動によって腱部負荷が増大した箇所と,実際の症例における炎症部位が一致することが示され,これにより,様々な症例における力学的発生メカニズムの解明や,疾患の危険因子となる動作を予測可能であることが示唆された,さらに,将来的に症状改善のためのリハビリ指針の提案や,治療に有効な専用装具の開発などの医工連携分野への展開の可能性を示すことができた.
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