研究課題/領域番号 |
20K19366
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
大森 史隆 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 言語聴覚士 (70551307)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 嚥下 / 遠隔 / リハビリテーション / 検査 / オンライン / セルフトレーニング |
研究実績の概要 |
今年度は、遠隔嚥下検査(remote examination of deglutition: RED)の対面条件と遠隔条件の一致度、遠隔条件での評価者間信頼性の検証、REDのカットオフポイントの設定、遠隔評価の満足度調査、在宅と病院を繋いでREDを行う実証実験を行った。また、遠隔での“セルフトレーニングの促進的介入”を嚥下障害患者へ行った。 REDの対面条件と遠隔条件の一致度はk係数0.654~1.000、遠隔での評価者間信頼性は「軟口蓋の挙上」がk係数0.444と低値であったが、その他の項目は0.660~1.000と高かった。そのため、「軟口蓋の挙上」は参考項目として、総点の計算からは除外した。 REDのカットオフポイントは、嚥下障害が8点以下(感度0.74、特異度0.67)、誤嚥が3点以下(感度0.80、特異度0.98)となった。 遠隔での検査実施後の満足度調査では、遠隔検査に対する恐怖心は5%、緊張感は35%、答えやすさは95.0%の対象者が「非常にそう思う」あるいは「ややそう思う」と回答した。自由記述回答では、「対面とあまり変わらない」、「面白い、楽しいと感じた」、「将来へ期待感が持てる、便利だと感じる」など肯定的な意見が大半であった。対象者の緊張感に留意する必要性はあるものの、REDの遠隔実施に関して高い受容性があることが示された。 東京都内の訪問看護ステーションに協力を仰ぎ、在宅(東京)と病院(福岡)をWeb会議システムで接続し評価を行った。全例ともREDの検査遂行が遠隔で可能であった。一致度の検証を現在行っている。 遠隔での介入を行わない段階(段階A)と遠隔で“セルフトレーニングの促進的介入”を行う段階(段階B)を設定した。自宅でプリントに従ってセルフトレーニングを行った回数を記録してもらい、その遵守率を現在ABAB法に基づき比較中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セルフトレーニングの促進的介入の効果検証は予定していた数よりも少なくなった。新型コロナウィルス感染拡大の影響で外来リハビリテーションに通院している患者数が少なかったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
間接的嚥下訓練のうち一つを対面と遠隔で併用して実施し、その効果を検証する。 前年度に引き続き、東京都内の訪問看護ステーションに協力を仰ぎ、在宅(東京)と病院(福岡)をWeb会議システムで接続し評価を行う。 遠隔嚥下検査(RED)の信頼性・妥当性検証について、国際誌に論文投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度助成額に対し、次年度使用額が生じた。これは新型コロナウィルス感染拡大に伴う行動自粛の観点から、研究協力者らとの打ち合わせをオンラインに変更したこと等による。
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