研究課題/領域番号 |
20K19369
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
ベ 成琉 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 研究員 (80707894)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 通いの場 / 身体的活動 / 認知的活動 / 社会的活動 / 社会的フレイル / 脳構造 |
研究実績の概要 |
2020年度は地域在住高齢者を対象に通いの場への参加状況と社会的フレイルとの関係を明らかにするとともに、その関係にある脳の構造的特性を明らかにすることを目的として分析を行った。今年度は脳画像撮像に参加した地域在住高齢者1220名のうち、脳・精神神経疾患に欠損が見られた高齢者を除いた1026名を解析対象とした。通いの場における様々な活動を日常の身体的、認知的、社会的活動の実施に捉えこれらの活動の実施と社会的フレイルとの関係を検討した。日常の活動は身体的、認知的、社会的活動の分野に構成された質問紙を用いて調査した。分野別に12項目の質問を用いて6件法で活動頻度を評定し、各分野の合計得点を算出した。社会的フレイルの判定は、誰かとの会話の低下、外出頻度の低下、友人訪問の低下、一人住まい、自分が役に立たないと思う気持ちがあるの5項目のうち、1項目に該当した場合を社会的プレフレイルとし、2項目以上に該当した場合を社会的フレイルと判定した。傾向検定を行った結果、単調減少傾向にある事が統計学的に明らかになり、社会的フレイルを有しない高齢者から社会的プレフレイル、社会的フレイルに進むにつれて身体的、認知的、社会的活動は減少傾向を示した。社会的フレイルに関連する脳領域を検討した結果、社会的フレイルを有しない高齢者に比べて社会的フレイルを有する高齢者の海馬と扁桃体容積が減少していることが明らかになった。さらに、社会的フレイルに関連する海馬と扁桃体容積は身体的、認知的、社会的活動が多いほど増大することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は地域在住高齢者1220名のうち、取込基準に該当する1026名を解析対象とし、通いの場における活動を日常の身体的、認知的、社会的活動に捉えて社会的活動との関係を明らかにし、その関係にある脳の構造的特性も明らかにした。これらの実績から本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、通いの場への参加が社会的フレイルの進行を抑制し、将来の要介護発生と認知症発症に有効となるかを検証し、通いの場への参加の継続が社会的フレイルの抑制と将来の要介護発生と認知症発症の抑制に有効であるかどうかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度計画としてデータ解析ソフトウェアMATLABを使用して脳の機能的解析を実施予定だったが、解析に使用する脳画像の取得ができなかった。理由としては新型コロナウイルス感染症防止のために計画していた対象者募集ができなかったためである。次年度に脳画像を取得し、解析ソフトウェアを購入する予定である。
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