研究実績の概要 |
2021年度は通いの場への継続的な参加が社会的フレイルを抑制し、将来の要介護発生の抑制に有効となるかを検証した。通いの場における様々な活動を日常の身体的、認知的、社会的活動の実施に捉えこれらの活動の実施と社会的フレイルおよび要介護発生との関係を検討した。日常の活動は身体的、認知的、社会的活動の分野に構成された質問紙を用いて調査した。分野別に12項目の質問を用いて6件法で活動頻度を評定し、各分野の合計得点を算出した。社会的フレイルの判定は、誰かとの会話の低下、外出頻度の低下、友人訪問の低下、一人住まい、自分が役に立たないと思う気持ちがあるのうち、1項目に該当した場合を社会的プレフレイルとし、2項目以上に該当した場合を社会的フレイルと判定した。新規要介護認定の発生は5年間追跡した。 4167名のうち、5年間で459名(11.9%)が新規に要介護認定を受けた。身体的、認知的、社会的活動の実施が社会的フレイル及び新規要介護発生に及ぼす影響を検討するためにまずROC曲線を用いて社会的フレイルを予測する活動得点のカットオフ値を求めた結果29点であった。29点以上を活動が多い群、29点未満を少ない群とした。活動が多い群に比べて、少ない群はフレイルになるリスクが有意に高かった(オッズ比4.3, 95%CI 3.6-5.2)。Cox比例ハザード回帰分析を行った結果、要介護発生のハザード比は、活動が多い群に比べて、少ない群は1.8倍(95%CI 1.5-2.2)高かった。 本結果より通いの場等で行う日常の身体的、認知的、社会的活動の実施は社会的フレイル及び新規要介護発生を抑制することが明らかになった。
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