研究実績の概要 |
地域在住高齢者52名を対象に3TのMRI装置を使用して、大腿部および膝関節についてT1強調および2point-Dixon法による画像を取得し、大腿四頭筋各筋の筋量・筋内脂肪率を算出した。除外基準に該当した者を除き、50名のうち、19名が早期膝OAに分類された。機能障害の評価には、knee society score日本語版を用いて評価した。分析の結果、早期膝OAにおける筋変性特徴として、大腿四頭筋の筋内脂肪率、特に内側広筋の筋内脂肪率の増加が顕著であることを明らかにした。また、早期膝OAと健常高齢者を弁別する内側広筋の筋内脂肪率のカットオフ値は7%であることを示した。さらに、内側広筋の筋内脂肪率の増加は、機能障害の重症度と関連することも明らかになったため、この指標は早期膝OA検出にとって有用であることが示唆された。この成果は、2023年4月にArthritis Res Ther(Taniguchi M,et al., A higher intramuscular fat in vastus medialis is associated with functional disabilities and symptoms in early stage of knee osteoarthritis: a case-control study.)にて論文を公表した。 また、関節軟骨の質的低下を示すT2緩和時間について、T2緩和時間の延長は内側広筋の筋内脂肪率の増加と関連することを明らかにした。この結果は当初の仮説を支持するものであり、筋質低下の指標である内側広筋の高い筋内脂肪率は早期膝OAのイメージングバイオマーカーであることを示した初めての成果である。
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