慢性心不全患者4名を対象にインタビュー調査を実施した(全例女性).インタビュー内容をSCATフォームに入力し,テクスト中の注目すべき語句を抽出し,ICFコードに変換した.質的分析の結果,慢性心不全患者が困難さを感じている生活行為は,d6200買い物やd6302居住部分の掃除,d6400衣服の洗濯と干す,d6600夫の介護,d5402靴・靴下の着衣が抽出された.これらの生活行為におけるd4300持ち上げる,d4302腕に抱えて運ぶ,d4303肩・腰・背に担いで運ぶ,d4402操作すること,d4500短距離歩行,d4501長距離歩行,d4502屋外の歩行,d4551段差昇降を含む工程で息切れやつらさを感じていた.また,息切れやつらさを軽減するため,d5701休憩しながら作業をすることやd1750ゆとりをもって予定を立てること,e1150長柄ほうきやワイパーシートの利用,e1201歩行車やカートを用いること,e310・e410家族に買い物や重い物の運搬を手伝ってもらうこと,e5400ノンステップバスの利用,e5800介護保険サービスの利用などで対応していた.これらのICFコードを用いて障害モデルとその対応方法を作成し,『心不全の息切れを軽減する生活行為ガイドブック』を作成した. このガイドブックを用いた指導が心負荷を軽減するかを検証するため予備実験を実施した.対象は20歳代の健常男性1名.非侵襲インピーダンス式心拍出量計PhysioFlowを用いて,更衣・洗濯・掃除・物品の運搬・階段昇降の5つの生活行為を実施中の心拍出量を測定した.測定は通常動作,5分間の安静,ガイドブックを用いた指導後に順次実施した.各活動工程の心拍出量CO最大値(L/min)を抽出し,通常動作と指導後で比較検証した結果,更衣・掃除・物品運搬・階段昇降において指導後の心拍出量最大値が減少した.
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