研究課題/領域番号 |
20K19387
|
研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
守屋 正道 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (80848135)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 脳血流 / マイネルト基底核 / 侵害刺激 |
研究実績の概要 |
侵害受容情報は脳の広範な領域の活動亢進を介して最適な行動・自律神経・内分泌応答を誘発し,有害状況への適応を促す.この活動亢進を支える機構の解明を目的としてC線維求心線維を豊富に持つ角膜を機械的・化学的に刺激して大脳皮質表層の血流イメージングを行った.Urethane麻酔下ラットの頭蓋骨透過下にlaser speckle contrast imaging法によりbregmaからlambdaのレベルの正中から左右約5 mmの範囲を1 frame/s,580 x 752 pixelsで可視化し,左右各13関心領域(ROI)の刺激前30 sの平均値で標準化した各ROI内脳血流変化度(ΔCBF)を求めた.von Freyフィラメントによる反復角膜刺激(30 s, 3 Hz)はΔCBFを増加し動脈圧を上昇させた.後者は第1-第2胸髄横切断後によってほぼ消失したが,前者はむしろ増大し,応答時間も先鋭化した.ΔCBFと血圧間の有意な相関は胸髄横切断後ほぼ消失した.刺激側NBMへのmuscimol微量注入は投与側依存的に,またはatropine (5 mg/kg, i.v.)の全身性投与は両側性に角膜刺激ΔCBF増加を有意に減少させた.一方これらによって残存する応答成分も認められた.以上の結果は,神経性に大脳皮質血流制御を担う複数の機構の存在を示唆する.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
角膜刺激による脳血流増加反応についてcluster解析を行い皮質部位特異性を見出した.現在,国際誌に公表すべく論文を準備している.
|
今後の研究の推進方策 |
詳細かつ多様な方法での解析に時間を要したが,すべての解析が終了した.今後は本プロジェクトの論文をまとめることを最優先に進めるとともに,本プロジェクトの発展性についてを検討していく.具体的には1)角膜刺激が臨床においてマイネルト基底核の評価となり得るか,2)化学遺伝学的手法を用いた脳血流制御経路の同定などである.
|
次年度使用額が生じた理由 |
初年度の新型コロナウイルスの影響,および研究代表者の所属異動により研究費の執行スケジュールを大幅に変更せざるを得ない状況が続いた.2024年度(最終年度)にプロジェクトを完結できるよう予算を使用したい.
|