研究実績の概要 |
脳卒中後の後遺症の一つである病的な痛みは治ることがなく患者の大きな苦しみとなっている.当該病態を再現した非ヒト霊長類モデルを対象とした先行研究によって,脳卒中後の病的な痛みには島皮質の活動上昇が関与することが明らかとなっている(Nagasaka et al., 2017, 2020, 2021など).本研究課題は健常成人を対象として島皮質の活動をリモートに制御するための皮質電気刺激法の開発を目的としている.2020年度はターゲットとなる島皮質と機能的神経結合がある皮質領域を可視化するために,機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた実験を行った.3T-MRIスキャナーを用いて個人ごとの脳構造MRIを取得し,触覚刺激を一定時間与える条件と安静条件の脳活動をそれぞれ計測した.解析においてはStatistical Parametric Mapping(SPM)を用いて画像の下処理をした後,CONNを用いて島皮質を関心領域としたfunctional conectivity解析を行った(n=42).結果,島皮質の活動は同側半球の背外側前頭前野と正の相関があり,同側半球の補足運動前野,両側の小脳半球とは負の相関関係があることが明らかになった.これら結果をもとに電気刺激を行うターゲット脳領域を決定していく.
|