研究課題/領域番号 |
20K19392
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研究機関 | 聖隷クリストファー大学 |
研究代表者 |
有薗 信一 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 教授 (70713808)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 急性呼吸不全 / 筋力低下 / 筋組織酸素飽和度 / 筋異化亢進 / 全身炎症 |
研究実績の概要 |
本研究は急性呼吸不全患者の筋異化亢進と全身炎症による筋の酸素消費との関連を明らかにすることで,急性呼吸不全患者の筋異化亢進(筋力低下)を早期発見できる近赤外線分光法(NIRS)による評価方法を開発することである.当該年度は急性呼吸不全患者のNIRSによる大腿四頭筋の筋組織酸素飽和度(StO2)と炎症の指標である血中のC-リアクディブ・プロテイン(CRP)との関連性を明らかにし,炎症の上昇が筋の酸素消費を強くするかを明らかにする.集中治療室にて,急性呼吸不全と診断された者30例を対象とし,集中治療室入室後48時間以内にNIRSを評価した.選択基準は①呼吸不全の診断(PaO2:60torr未満)②循環動態が安定している③研究に参加する同意を得た者とした.対象にNIRSを測定するため,大腿四頭筋にプローブを接着し,5分間の安静を保ち,StO2を測定した.StO2とCRP,患者背景との関係をspearmanの順位相関係数を用い検討した.対象の年齢は71.8±11.5歳,BMIは22.1±3.1であった.集中治療室入室から初回測定までの期間は1.1±0.4日であった.StO2の最低値の平均値は50.4±2.1%であり,安静時の経皮的酸素飽和度(SpO2)は96.4±1.9%で,PaO2は87.1±20.0torrであった.StO2の最低値とCRPと間には,負の相関関係を認めた(p= 0.01).急性呼吸不全患者の大腿四頭筋のStO2の最低値は炎症の指標であるCRPと関連があった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現状のコロナの状況下の集中治療室では,COVID-19の治療が最優先とされており,同意が得られる対象患者の募集に難渋している.また,同意が得られた対象患者においても,COVID-19の感染リスクが高い状況により,研究の続行を断念する状況があり,研究遂行するための対象の募集に難渋している.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,前年度の対象患者の募集を図り研究を遂行してく予定である.さらに,急性呼吸不全患者の筋組織酸素飽和度と超音波による大腿四頭筋の筋厚を測定し,筋組織酸素飽和度の変化量と筋厚の減少との関係性を明らかにすることと,炎症所見の程度と筋厚の減少の関係を検証し,筋異化亢進による筋厚の減少と筋組織酸素飽和度の変化が鋭敏に反応するのかを明らかにするための研究計画を予定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の状況下で,対象患者の募集の難渋のため,超音波診断装置の購入を実施していないことや,施設へのデータ測定のための出張,情報収集のための学会参加などの出張回数が予定より少なくしなければならなかったためである. 次年度は,超音波診断装置などの機器の購入や,施設へのデータ測定のための出張を多くする予定であり,得られた結果の公表のための学会参加などを実施していく予定である.
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