研究課題/領域番号 |
20K19398
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
植村 弥希子 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 助教 (10786601)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マクロファージ / 電気刺激 / 炎症性サイトカイン / 酸化ストレス / 解糖系代謝 |
研究実績の概要 |
単相性パルス微弱電流刺激がマクロファージの炎症反応におよぼす影響を検討した。マウス骨髄由来マクロファージを培養し、200μAの単相性パルス電流刺激を実施した。その後、100ng/mLのLPS刺激を行い、コントロール群、LPS群、電気+LPS群の3群で炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6、TNF-α)の発現量を比較した。結果、電気刺激+LPS群ではLPS群と比べ各種炎症性サイトカイン発現量は減少し、電気刺激はLPSによるマクロファージの炎症反応を抑制した。一方で、M2関連geneであるIL-10、Arg-1発現量に差はなく、電気刺激による極性変化の効果は認めなかった。マクロファージに対する抗炎症作用の機序検証のため、各群の酸化ストレスおよび電気刺激を行ったマクロファージの代謝産物を解析した。ROS産生について、電気刺激を行うことでLPS刺激によるROS産生を有意に抑制し、電気刺激はマクロファージに抗酸化作用をもたらすことが明らかとなった。また、電気刺激を行うことで解糖系代謝が促進され、ワールブルグ効果がもたらされた可能性が示された。電気刺激をマクロファージに行うことで抗酸化作用を得ることができ、結果、炎症反応が抑制された可能性がある。また、抗炎症作用を有するNRF-2発現も電気刺激により上昇した。以上より、マクロファージに電気刺激を行うことで解糖系代謝が促進され、抗酸化作用ならびに抗炎症作用が生じ、LPSによる炎症反応を抑制したことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
他大学で実験を行っており、2020年度は新型コロナウイルスの流行による立ち入り制限があり実験を行えない期間があった。その影響により2021年度の実施状況にも全体的に遅れが生じているが、本実験での研究成果は出ているため、現在は論文執筆作業中である。また、今回の結果を踏まえ、次の実験も一部進めている最中である。
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今後の研究の推進方策 |
今回、電気刺激のnaiveマクロファージに対する炎症反応の抑制効果を確認した。今後、炎症刺激を行ったM1マクロファージに対する電気刺激の効果を検証し、その効果ならびにメカニズムについて検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会渡航費用として計上していた予算が余剰金として発生した。また、共培養を実施できておらず、その予算も余剰金として発生した。今年度はタンパク発現の解析および別条件での実験を行うため、各種必要物品ならびに試薬を購入予定である。
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