研究課題/領域番号 |
20K19399
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研究機関 | 奈良学園大学 |
研究代表者 |
前田 吉樹 奈良学園大学, 保健医療学部, 専任講師 (10738610)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 恐怖条件付け / 慢性疼痛 / 条件付けの消去 / 集学的リハビリテーション / 皮膚電気活動 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、令和2年度に確立した恐怖条件付けの実験系をさらに発展させた。電圧値のコントロールに用いた刺激制御ソフトPresentation(Neurobehavioral systems, USA)のインターフェースにNI-DAQ社のUSB-6001を新たに使用し、持続時間だけでなく強度も外部制御できるように構築した。これにより、慣れの起こりにくい電気刺激を設定できるだけでなく、強い痛みと弱い痛みを条件に応じて打ち分けられるようになった。また、条件付け反応を評価するための生理反応の解析方法に関しても新たな手法を導入した。皮膚コンダクタンス反応の取得にはProcomp Infinity (Thought Tech, Canada)を用いている。皮膚コンダクタンス反応は、覚醒レベルを反映した持続的な活動(tonic成分)と、恐怖に対する一過性の交感神経活動を反映した成分(phasic成分)に分かれているが、これらの反応が時に重畳して出現することが解析上の問題となっていた。このためBenedekら(2012)の開発したLedalabというアプリを用いて、2つの成分を分離して評価する方法を導入した。 【予備実験】被験者は健常成人3名。画面に映る課題を元にして手首を曲げる/曲げないを判断する。手首を動かす際には電気刺激(US)が付与される(CS+)。電気刺激はあらかじめNRS(Numerical Ratin Scale)7のレベルに設定される。手首を動かした際は1/3の割合で刺激強度が半分になり(CS+ Catch)、手首を動かさない場合も半分の強度の刺激が提示される(CS-)。このようにして得られた皮膚コンダクタンス反応をLdealabを用いて解析した。結果、同じ強度の電気刺激であるにもかかわらず、CS+ Catchの試行ではCS-の試行よりも大きなphasic成分が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度に引き続き、新型コロナウィルス感染拡大が継続した影響により、研究対象者募集の目途が立たなかった。予備的研究に関しても、主たる研究機関である奈良学園大学の危機管理レベルが高まったことで、外部からの来客だけでなく学生も入校が制限されており、開発が遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
確立された実験系を元に、積極的に健常成人の参加者募集を募り、データを取得する。また、入院集学的リハビリテーション対象患者に対するデータ取得の体制についても構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大を受け、主として学会参加費用(旅費)と研究対象者への謝金(人件費)が使用できなかったため。次年度は社会情勢を鑑みなが ら、これらの用途も使用を検討する。
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