本研究は、多自由度を有する足部を一自由度機械にて三次元的にストレッチングする方法を確立することを目的としている。そのため、課題①機械運動軸を変更することができる足部背屈ストレッチング機器の作製、課題②ストレッチング中の三次元的な足部制動方向を測定する方法の確立、課題③ストレッチング中の下腿後面筋群の伸張度を測定する方法の確立、課題④多様な被験者を対象にした実験を研究の課題としている。
2023年度は、2022年度に引き続き課題③に取り組んだ。エコー装置を用いてストレッチング中の下腿深層筋(後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋)を撮像し、これらの筋厚や筋横断面積の変化を調査した。数名の被験者に対して実施したが、被験者毎の結果に幾らか相違があり、この方法を一般化するためには更なる工夫が必要であることが判明した。浅層筋群(下腿三頭筋・ヒラメ筋)の筋厚や、撮像する高さの影響も考えられたため、撮像の範囲や撮像位置について、より細かい設定が必要であると予測している。 一方、課題②のストレッチング中の三次元的な足部制動方向を測定する方法について、可動型の三次元動作解析装置を用い、機器上の足部の動きを定量的に測定できる環境を整えた。ただ、足部背屈ストレッチング機器側の回転軸の調整にまだ課題が残り、実際の測定までには至らなかった。
本研究課題の遂行のためには、足部三次元制動機器の完成および下腿深層筋群の伸張度測定法の確立が必須であり、今後も引き続きこれらの課題に取り組んでいく予定である。
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