研究課題/領域番号 |
20K19409
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
廣幡 健二 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (90747700)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膝前十字靱帯 / 片脚連続垂直ジャンプ / Reactive strength index / 膝筋力 / バイオメカニクス |
研究実績の概要 |
膝前十字靱帯(ACL)再建術後選手の中で、再損傷してしまうケースを減らすため、スポーツ復帰前のリスクスクリーニングは必須であり、適切な復帰許可基準の制定がスポーツ医学界の課題である。国際的に最も使用されている片脚ホップ距離テストは非術側に対する術側機能の過大評価につながりやすいという問題点がある。この問題点を片脚垂直連続ジャンプ中の跳躍高と接地時間で算出するReactive strength index(RSI)が解決しうるということが、これまでの申請者らの調査でわかってきた。次の段階として本研究では、ACL再建術後選手の片脚垂直連続ジャンプ中RSIの非対称性が、ACL再建術後選手の回復状況やジャンプ着地中膝外反に代表される再損傷リスクのバイオメカニクス要因と関連するという仮説を基に分析する。 本年度は、ACL再建術後選手の片脚垂直連続ジャンプ中RSIと等速性膝伸展筋トルクの関連を検証することを目的に研究を進めた。ACL再建術後選手75名の診療データから、片脚垂直連続ジャンプ中RSIおよび等速性膝伸展筋トルクそれぞれの非対称性(Limb Symmetry Index、以下LSI)を算出した。そして、等速性膝伸展筋トルクと非対称性を従属変数とした重回帰分析を実施した。重回帰分析の独立変数には、片脚垂直連続ジャンプ中RSIのLSIに加えて、ACL再建術後選手の術後筋力回復に影響しうる変数(年齢、性別、競技レベル、術後経過月数、主観的膝機能)を設定した。その結果、ACL再建術後選手の等速性膝伸展筋トルクのLSIを推定する因子として、片脚垂直連続ジャンプ中RSIのLSIのみが抽出された(B=0.440, SE=0.068, β=0.604, p<0.001)。これらの知見をまとめ、原著論文を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
片脚垂直連続ジャンプ中RSIと膝筋力に関する診療データは分析し、公表に向けた準備を進められている。しかしながら三次元動作解析を用いた計測・分析については、2020年度と同様、新型コロナウィルス感染拡大の影響により研究協力者リクルートが困難な状態にあったため計測スケジュールが滞っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者のリクルートを強化し、ACL再建術後選手と健常選手のデータ計測を実施する。目標対象数に到達するまで研究協力者のリクルートを継続する。収集したデータを分析し、研究成果は学会発表と関連雑誌への投稿という形で公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の通り、研究協力者のリクルートができていないことにより、研究協力者への謝礼金や 消耗品に係る費用が発生していないことが理由である。次年度以降は、学外研究協力者への謝金、成果公表のための学会参会費および旅費、論文投稿費用としての使用を予定している。
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