研究課題
変形性膝関節症発症や憎悪の一要因に関節不安定性が関与する(Osteoarthritis Cartilage 2017)。これまで関節軟骨に対して不安定性条件がさらされることで炎症性サイトカインやMMPなどのタンパク質分解酵素を増加させることから結果として異化作用亢進に伴うOA進行に寄与していることを報告した(Cartilage 2018, 2019)。今年度は軟骨の潤滑機構に着目し、不安定性条件が同化に関連する因子であるルブリシン(PRG4)やそれらの上流シグナルに関わるTGFβの影響から潤滑機構破綻メカニズムの解明を目指している。Study1 関節不安定性はOAの進行因子およびLubricinにどのような影響を与えるか検証した(in vivo)。結果、関節不安定性条件ではルブリシン発現量が関節軟骨表層で安定条件のラットモデルの軟骨表層に対して約57%、深層部では21%減少していた。すなわち、関節の安定化に伴い、軟骨潤滑に作用するルブリシンを維持できることを示した。Study2 ルブリシンの上流シグナルの一つであるTGFβの作用を検証するために、関節安定性・不安定性条件とTGFβレセプター抑制剤(ALK-5の抑制)を膝関節内に注射をした場合の軟骨や滑膜への相互作用の影響を調査した。結果、4週までは大きな差は認めないが、8週時点で関節不安定性条件は注射といった生化学刺激よりもLubricinに影響を与え、軟骨変性を促進することが明らかとなった。Study3 抑制剤への影響を明らかにするために、invivoから初代培養細胞(軟骨と滑膜)を採取し、毒性試験や薬物添加試験を実施している
2: おおむね順調に進展している
現在in vivoで起こっている変化の原因をin vitroで精査している段階である。初代培養細胞の方法について確立され、安定化した実験条件が確保できつつある。
今年度実施したin vivoの現象について明らかにするために、in vitroで抑制剤への影響を明らかにするために、invivoから初代培養細胞(軟骨と滑膜)を採取し、毒性試験や薬物添加試験を実施している。今年度は、潤滑機構破綻メカニズムの解明に向けたゲノム編集技術の確立を目指す
in vivo研究の確立が順調であったため、やや予算使用額が減少した。今年度のゲノム編集技術の確立を目指すための予算として利用する
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Osteoarthritis and Cartilage Open
巻: 4 ページ: 100114
10.1016/j.ocarto.2020.100114