高次脳機能障害患者に同意を得たうえで神経心理学検査および頭部MRI(機能的MRIの撮像を含む)、脳血流シンチグラフィを実施し、高次脳機能評価と脳画像所見、脳血流の経時的変化などの確認を行った。また、長期経過で高次脳機能障害(病識低下、記憶障害)が改善し、復職を果たすことができた患者における神経心理学検査および機能的MRIの脳画像所見の変化を後方視的に調査し、学会発表を行った。今回の発表では重度の病識低下と記憶障害を呈する場合でも長期に医学的フォローアップを行うことで病識の改善が得られ、記憶障害に対する理解が改善し、メモなどの代償手段の獲得が可能であることが確認された。今後は、カルニチン投与が脳血流に与える影響について症例ごとに脳血流シンチグラフィの検討を進め、高次脳機能障害への治療としての妥当性の検討を行う必要があると考えられる。さらにカルニチン欠乏症以外の患者へのカルニチン投与を行い、神経心理学検査と脳血流シンチグラフィの変化を確認する研究が望まれる。脳血流シンチグラフィについては核種ごとに解析(99mTc-ECD:e-ZIS、FineSRT、3DSRT、123I-IMP:3D-SSP)を各症例で行い、さらに統計解析も行う必要があると考えられた。核子による脳血流評価と神経心理学検査の相関と評価の妥当性についても検討も、今後の高次脳機能障害の治療決定について重要な知見となる可能性があると考えられる。
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