研究課題/領域番号 |
20K19428
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
浅尾 章彦 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (40780268)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 末梢性磁気刺激 / 皮質脊髄路 / 脊髄反射 / 神経リハビリテーション |
研究実績の概要 |
本研究は,反復末梢性磁気刺激に運動イメージを併用した介入が脳および脊髄に及ぼす可塑的変化を明らかにし,臨床応用するための基礎的なデータを提供することを目的とする. 令和3年度は,1) 反復末梢性磁気刺激に運動イメージを併用した介入による皮質脊髄路の興奮性の経時的変化の検討,2) スプリント素材上からの反復末梢性磁気刺激が皮質脊髄路の興奮性に及ぼす影響の検討,3) 反復末梢性磁気刺激による脊髄興奮性の変化の予備的検討を行った. 1) では,健常被験者を対象として,反復末梢性磁気刺激と運動イメージの併用した介入を20分間実施する際に,5分ごとに主動作筋および拮抗筋の皮質脊髄路の興奮性を記録し,どちらか単一の介入と比較した.結果,反復末梢性磁気刺激と運動イメージを併用した介入では,介入15分以降において皮質脊髄路の興奮性が増大した.加えて,反復末梢性磁気刺激と運動イメージを併用した介入は,介入20分後において反復末梢性磁気刺激のみと比較して,皮質脊髄路の興奮性が増大していることが明らかとなった. 2)では,健常被検者を対象として,スプリント素材の上から20分間の反復末梢性磁気刺激を前腕に行った.刺激中には関節の固定を行わなかった.実験では,スプリント素材の枚数を0枚,1枚,2枚と変化させた.刺激前後の皮質脊髄路の興奮性と刺激中の誘発運動の大きさを検討した.結果,スプリント材0枚では皮質脊髄路の興奮性が増大した一方,スプリント材1枚や2枚では皮質脊髄路の興奮性は変化しなかった.誘発運動はスプリント材0枚と1枚で変化が見られた. 3)では,脊髄興奮性の指標としてH反射を用いるために実験システムを構築し,健常被検者を対象とした予備的検討を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間2年目である令和3年度には,反復末梢性磁気刺激に運動イメージを併用した介入が皮質脊髄路の興奮性に及ぼす影響を検討した研究が国際科学誌に2論文掲載された.また,これまでに検討をしてきたスプリント素材上からの反復末梢性磁気刺激が皮質脊髄路の興奮性に及ぼす影響について検討した研究が国際科学誌に1論文掲載された.反復末梢性磁気刺激が脊髄興奮性に及ぼす影響の検討については,実験システムを構築すると共に,倫理審査や臨床研究登録を完了して予備的検討を開始することができた.
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今後の研究の推進方策 |
研究期間最終年である令和4年度は,反復末梢性磁気刺激が脊髄興奮性に及ぼす影響を中心に検討を推進する.反復末梢性磁気刺激が脊髄興奮性に及ぼす影響については,基礎および臨床研究のいずれの先行研究をレビューし,神経リハビリテーションへの臨床応用を想定した実験条件を検討する.本実験を速やかに開始すると共に,研究結果は国際科学誌への投稿を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度の研究費は予定どおり執行することが出来たが,結果的に40円が未使用となった.次年度分と合わせて適正に執行する予定である.
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