研究課題
本研究では実験1として、タブレットを利用した数字探索による疲労課題を実施し、一時的に神経疲労状態となった実験参加者に対して、疲労課題の前後に音声を録音した。その音声からカオス理論を応用した解析を行い、脳の活性度を表すCEM値を算出しした。神経疲労状態を音声から判断できるか検討を行ったところ、実験参加者15名にて、実験開始前のCEMの数値に対して、疲労課題実施後のCEM値にて、有意に低下を示していることが分かった。実験2では、疲労課題中の実際の疲労度や課題への集中の程度について、客観的な疲労の指標である唾液アミラーゼと心拍変動(LF/HF)を用いて計測し、疲労課題の前後における神経疲労と自律神経反応について検討した。実験参加者2名とも、実験開始前のCEM値に対して、疲労課題実施後のCEM値にて低下を示した。また、唾液アミラーゼ活性値は疲労を示す数値まで上昇し、LF/HFは疲労を示す交感神経活動の上昇が確認された。このことから、中枢性疲労状態とは、脳の機能が低下した状態であること判断可能であった。また、脳機能が低下した状態を音声から推測することが可能であることが明らかとなった。実験3ではCEM値の低下がうつ病患者ではどのような変化を起こしているか検討し、さらに、うつ病の重症度とCEM値の関連について検討を行った。結果は、健常者群に比べてうつ病患者群でCEM値が有意に低い結果であった。これは音声信号から脳機能低下の状態を検出可能であったと結論付けられる。本研究で使用したカオス理論を応用した音声解析手法はうつ病のスクリーニング検査として使用可能であると考えられた。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
リハビリテーション・エンジニアリング
巻: 39 ページ: 50-54
10.24691/resja.39.1_50
Sensors and Materials
巻: Vol.35,No37 ページ: 2205-2213
10.18494/SAM4334