研究課題/領域番号 |
20K19431
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
塚本 敏也 常葉大学, 健康科学部, 講師 (10737357)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 呼吸筋疲労 / 慢性閉塞性肺疾患 / 呼気筋トレーニング / 呼吸筋力 / 呼吸筋筋電図 / 呼吸困難感 |
研究実績の概要 |
2021年度は、2020年度と同様に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、外部研究者の各施設への出入り、高齢者および慢性閉塞性肺疾患をもつ研究対象者との接触が制限されており研究の進捗が遅れている状況である。研究内容についても、対象者との接触や呼吸機能検査を伴う測定が必須であるため、測定場所等の確保、被験者等の募集方法など新たな実施方法を含めた検討が必要である。 呼吸筋疲労に対する呼気筋トレーニングの効果については、本研究の基礎資料である既存データ(健常者)を再度分析したうえで研究結果をまとめ学術論文の執筆を行った。現時点、学術論文の標題は「Effects of expiratory muscle training on respiratory muscle fatigue during inspiratory load in healthy adult males: A randomized controlled trial」として投稿している(標題は修正する可能性がある)。学術論文は、国際雑誌(英文)へ投稿し査読中の状況である。学術論文を執筆する中で、呼気筋トレーニングの負荷強度、実施期間、実施頻度については対象の状態に合わせた実施方法やリスク管理を含めた検討が必要であるため、先行研究や文献検索により調査を進めている。また既存データ(健常者)では、吸気負荷に伴う呼吸筋疲労が観察されるため、呼気筋トレーニングによる呼吸筋力増強が呼吸筋の疲労耐久性を向上させ、呼吸筋疲労を抑制できるかが重要となる。我々の先行研究では、呼吸筋疲労に伴う呼吸筋力の低下は呼吸困難感と関係性が認められており、呼気筋トレーニングによる呼吸筋力増強は呼吸筋疲労のみでなく呼吸困難感の予防や抑制効果が期待できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現在、既存データを再分析し呼気筋トレーニングの呼吸筋疲労に対する効果に関する学術論文の執筆と投稿を行った。呼気筋トレーニングの研究方法や介入結果は、呼吸筋疲労に対する効果の基礎資料となるため引き続き掲載に向けた準備を行う。 進捗状況は、2021年度においても、2020年度と同様に新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響を受け、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により研究協力施設の感染対策や外部訪問者(研究者を含め)の施設への出入り、対象者および対象疾患との接触に制限が生じたため研究遂行が困難であった。特に、呼吸に関わる検査については感染対策の観点からも制限が強い状況である。また、研究協力施設にて予備研究を計画していたが、これらも中止せざるを得ない状況となった。高齢者を対象とした研究においても、高齢者が集まる機会や介護予防事業が再開と中止を繰り返す状況となり、被験者募集等の遂行が難しく進捗が遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染対策を徹底した研究遂行を計画する。また、改めて研究協力施設(2施設)への協力依頼と新規の研究協力施設の調査を継続し、本研究内容を十分にご説明した上で研究協力の依頼を行っていく。研究協力施設の他にも、測定施設や被験者募集が可能な団体等への協力依頼についても検討する。 引き続き、研究遂行に必要な呼吸機能検査や呼吸筋力評価については感染対策を講じたうえで個室にて実施できる環境設定や測定時間の短縮を図ることを検討している。 その他、COVID-19の影響の中でも実施できる研究方法を検討している。本研究における必須の評価項目である呼吸機能検査、呼吸筋力(最大口腔内圧)の測定には最大吸気・呼気や努力性の測定項目を含んでいるため飛沫等による感染の危険性を排除するために呼吸機能検査用マウスフィルタ(PIF-2A)を使用する予定である。PIF-2Aは、帯電フィルタにより唾液や喀痰等の捕捉と測定機器の細菌汚染を防止し、呼吸機能検査における安全性を高める効果がある。呼吸機能検査に対する安全性について、研究協力施設や対象者にご説明し、研究遂行に必要な環境を整えていく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、主に学術論文の執筆に必要な経費と外部施設で計測ができるように計測に必要な準備備品の購入を行った。 次年度は、研究遂行に必要な設備備品費として筋電図データ処理装置(EM-P5)、筋電図マルチカート(機器収納、移動用カート)、筋電図ピンチケーブル(EM-871)を予定している。これは、今年度に設備備品費として購入できなかったため再度必要備品として使用計画を行う。また、呼吸機能検査、呼吸筋疲労の経時的な計測はSpO2の評価およびモニターとしてSpO2フィンガープローブ、バイタルチェックに必要な血圧計や聴診器が必要となるため購入を検討している。消耗品としては、呼吸機能検査に用いるマウスフィルタ(帯電フィルタ付PIF-2A)、ノーズクリップが必要となる。また、呼気筋トレーニングの介入時には機器としてEMST150が被験者数に応じて必要となる。この他、呼吸筋疲労の評価には呼吸筋筋電図計測を計画しているため、直接皮膚表面に張り付ける使い捨て筋電図電極(EM-272W)や筋電図機器(プローブ)を皮膚表面に張り付けるためのプローブ用シールなどが消耗品として使用予定である。 これら設備備品費、消耗品等は呼吸筋疲労の測定に必要な機器備品であり、外部施設での計測および持ち運びを想定した使用計画となる。その他、研究成果として学術雑誌への論文投稿、掲載料等の必要経費としての使用を予定している。
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