研究課題
地域在住高齢者が主観的もの忘れを訴える段階で低下しやすい特定の生活行為に着目し、視線行動との関連性を検討する本研究課題の2年目の実績は以下の通りである。今年度は研究協力施設であるデイサービス利用者20名(整形疾患が主)、シルバー人材センター登録者20名(認知機能低下を疑う既往なし)に対して3つの課題・評価を実施した。1)眼球運動測定装置を用いた探索課題:冷蔵庫の場所や冷蔵庫の中身を示した3つの静止画像を用い指定された品物の探索、2)生活行為調査:もの忘れを訴える高齢者が特に低下しやすい特定の生活行為27項目(例:食材を洗う、食材を剥く・切る・つぶす)について、生活行為工程分析表(PADA-D)を用いその遂行状況を評価、3)認知機能検査:Montreal Cognitive Assessment日本語版(MoCA-J)を実施。対象者40名のうち、1名は同意撤回したため、計39名を対象として視線行動(眼球運動スピード、注視時間、注視回数)と認知機能、生活行為の関連性を検討した。対象者の平均年齢は84.7±4.3歳、女性のみ、MoCA-J20.7±4.4点、PADA-D72.3±7.5点であり生活行為は概ね良好であるが認知機能はやや低下している集団であった。また眼球運動スピードとMoCA-Jには有意な負の相関、平均注視時間とPADA-D得点に有意な正の相関を認めた。生活行為の支援には注視時間に留意する必要性が示唆された。今後は対象者数を増やしつつ、視線行動とPADA-Dの各ADL別の関連性を詳細に検討していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画通りに進んでいるものの、現時点のデータの分析結果から視線行動と生活行為を詳細に検討するためにはさらに対象者数を増やす必要があり、20名を目標にデータ収集に取り組んでいく。
対象者数を増やすとともに、データ分析を継続し論文化や学会発表を行っていく。
当初の計画より旅費を必要としない範囲でデータ収集を行ったため次年度使用額が生じた。次年度は今年度得られた知見を学会で発表するための交通費・宿泊費、また国外雑誌への論文投稿の投稿料に使用する予定である。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件)
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