研究課題/領域番号 |
20K19467
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
谷利 美希 中部大学, 生命健康科学部, 講師 (40612669)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 活動と参加 / 地域在住高齢者 / 認知機能 |
研究実績の概要 |
本研究は,地域在住高齢者の主体的な活動の実施と,認知機能および認知症危険因子との関係性を検証する.R5年度は,R3年度調査の追跡調査を実施した.R3年と同様に,町内会自治会協議会の協力を得て,高齢者以外も含む全戸に質問紙をポスティングし,687通回収した(期間:R5年10~11月).対象地域の高齢化率は45.8%であり,概算回収率は46.7%となった.1年以内の入院歴がある者,要介護認定者,65歳未満の者を除外し,研究対象者は557名となり,そのうち,欠損値のない535名が分析対象となった. R3年(n=564)とR5年(n=535)の群間比較の結果,性別・年齢・同居形態・就労状況に差はなかった.また,基本チェックリストの下位項目による運動器の機能・主観的認知機能・抑うつ気分,LSNS-6による社会ネットワーク量,SF-8による健康関連QOLの身体的側面の群間差はなかった.一方,活動実施状況評価Activity card sort-Japan versionによるIADL,身体的負荷の高い余暇活動,社会文化的活動の各実施率と,健康関連QOLの精神的側面はR3年よりR5年の方が有意に高かった(p<0.001).身体的負荷の高い活動や社会文化的活動には,外出や人との交流が含まれるため,感染症予防対策の緩和の影響が考えられた.また,本研究のR2年からR3年にかけて悪化した健康関連QOLの精神的側面がR5年で改善しており,活動量や活動範囲の増加による影響が考えられた. R3年とR5年において追跡できた対象者は277名(追跡率46.4%)であり,活動参加と認知機能の因果関係について分析を進める.さらに,同意を得た方を対象に面接調査を行っており,すでに105名の面接調査を終えた.面接調査では客観的認知機能検査を実施しており,主体的な活動量の改善と認知機能との関係性について解析を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
R3年度の大規模調査が感染症対策のため予定より遅れたため,追跡調査を含めた計画が後ろ倒しとなった.R5年度に質問紙調査と面接調査はおおよそ終了したが,面接調査の一部はR6年度に繰り越しとなる.
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今後の研究の推進方策 |
R6年度は,同意を得ている面接調査対象者との日程調整の上,訪問調査を実施する.また,質問紙調査と面接調査の結果をまとめ,対象地域の回覧版にて報告する.同時に,分析対象者の解析を進め,論文投稿を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
R2年からR4年にかけて,感染症予防対策を講じるため,本研究の計画を見直した.それにより,R6年度に一部の調査を継続して実施する必要性が生じた.
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