研究実績の概要 |
最終年度は要介護認定を受けている認知症高齢者に対して、訪問または通所のリハビリテーションとその後の認知機能の変化に関する研究を実施した。 本研究は1自治体が保有する国民健康保険・後期高齢者医療保険の医療保険と介護保険を突合したデータベースを利用したコホート研究である。2015年4月から2019年12月のデータを使用し、2015年から2016年時点で要介護認定されており、認知機能が低下した高齢者、3,487名を対象にした。 介護認定調査時点の訪問・通所のリハビリテーションの有無を説明変数とした。訪問リハビリテーションは、医療レセプト、介護レセプトよりそれぞれ取得し、通所リハビリテーションは介護レセプトから取得した。また、要介護認定調査の認知機能もしくは日常生活動作能力を目的変数とした。統計解析は線形混合効果モデルを使用して、リハビリの有無が及ぼす影響を検証した。また、観察期間との交互作用も同時に検証した。交絡変数は年齢、性別、Charlson Comorbidity Indexの認知症を除いた各項目、入院の有無、歩行の自立の程度とした。群間の差 (95%confidence interval) を推定した。 対象者は3,487名であり、平均年齢 (標準偏差) は85.5 (7.0) 歳、男性は1,027名(29.5%)、リハビリ有り群は1,009名(28.9%)であった。統計解析の結果、リハビリの有無と観察期間の有位な交互作用は見られなかった。つまり、リハビリテーションの有無により認知機能もしくは日常生活動作能力の変化に有意な差は認められなかった。
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