研究課題/領域番号 |
20K19477
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石田 知也 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (30759642)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膝前十字靱帯 / リハビリテーション / スクワット / 足圧中心 / 運動制御 |
研究実績の概要 |
膝前十字靱帯(ACL)再建術後には,膝関節機能の回復が十分に得られず,様々なスポーツ動作において他関節による代償運動が長期に残存することが報告されている。しかし,代償運動制御メカニズムについては解明されていない。本研究では,スポーツの基本動作であるスクワット動作を対象に,足圧中心位置(COP)に着目してACL再建術後の運動制御メカニズムを解明することを目的とする。 本年度は,1)ACL再建術後のスクワット動作におけるCOP位置制御の特徴について,健側と患側の差および健常者との差を明らかにすること,2)ACL再建術後のスクワット動作におけるCOP位置と膝関節伸展モーメントおよび足関節・股関節伸展モーメントとの関連を明らかにすることを目的として研究を進めた。ACL再建術後症例14例と健常症例15例を対象にスクワット動作の三次元動作解析を行った。その結果,ACL再建群の膝関節伸展モーメント平均値は,健側と比較して患側が有意に低値であった(P<0.001)。同様に,股関節,膝関節,足関節の伸展モーメントの総和に対する膝関節伸展モーメントの比は,健側と比較して患側が有意に低値であった(P<0.01)。COP位置については,健患差,群間差ともに検出されなかったが,ACL再建群のCOP位置の健患比は股関節,膝関節,足関節の伸展モーメントの総和に対する膝関節伸展モーメントの総和の健患比と有意な相関関係にあった(P<0.05)。これらの結果より,スクワット動作中のCOP位置の制御はACL再建術後の代償的な運動制御メカニズムに関連している可能性が示唆された。これらの知見の一部は国際学会にて発表した。また本知見に基づき,論文,図書にて解説を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に予定していた2つの研究課題について,データ計測,解析を予定通り進めることができた。並行して準備予定であった3つ目の研究課題に必要なプログラミングまで進めることは出来なかったが,全体としては順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に実施した2つの研究課題について,各群20例を目標にデータの蓄積を継続していく。また,次年度からは,COP位置についてのフィードバックを与えることによる運動制御の変化について検証を進める。研究成果は,学会や論文にて随時公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で参加予定であった国際学会が中止となったこと,3つ目の研究課題で用いるプログラミングまで研究が進まなかったことが主な理由である。 次年度以降は,予定していたソフトウェアの購入,研究対象者への謝金,論文投稿費用としての使用を予定している。
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