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2021 年度 実施状況報告書

骨格筋細胞におけるアミノ酸エコシステムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K19478
研究機関東北大学

研究代表者

長名 シオン  東北大学, 医工学研究科, 特任助教 (60868131)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード骨格筋 / アミノ酸 / プロテアソーム / アミノペプチダーゼ / 筋芽細胞 / 筋分化
研究実績の概要

超高齢社会を迎える本国において, サルコペニア(加齢性筋減弱症)や不活動に伴う廃用性筋萎縮症患者の増加が問題となっている. このような健康課題を解決するためにも骨格筋量の調節メカニズムを明らかにすることは重要な課題である. これまでタンパク質分解系であるプロテアソームが骨格筋維持に不可欠であること明らかにしてきたが, その詳細なメカニズムについては不明であった. 本研究ではプロテアソームによるタンパク質分解由来のアミノ酸の再利用性について検討する. これまでの研究成果より, タンパク質分解由来アミノ酸はタンパク質合成には再利用されない可能性が明らかとなった. そこで分解由来ペプチドを処理するアミノペプチダーゼの働きに着目することとした. その結果, 筋芽細胞におけるアミノ酸飢餓ストレスやプロテアソーム阻害, オートファジー阻害は種々のアミノペプチダーゼ遺伝子発現を変動させることを明らかにした. 興味深いことにそれぞれの上記3つの条件間で変動するアミノペプチダーゼ遺伝子は異なっており, 依存的な制御機構の存在が考えられる. 例えば, プロテアソームとアミノペプチダーゼXは密接な関係があるなどである. これらの結果は細胞内におけるタンパク質・アミノ酸代謝の維持にアミノペプチダーゼが寄与する可能性を示唆する. さらに網羅的なアミノペプチダーゼ遺伝子発現抑制実験の結果, 筋芽細胞の正常な筋分化に必須となるアミノペプチダーゼ分子を7つ同定した. 今後はアミノペプチダーゼに焦点を当てたアミノ酸リサイクル機構の解明に向けて取り組みたいと考えている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

筋芽細胞におけるタンパク質代謝の変動がアミノペプチダーゼに与える影響を明らかにすることができ, アミノペプチダーゼによる代謝制御機構の存在を示唆することができた. 加えて, 網羅的なアミノペプチダーゼ発現抑制が筋分化に与える影響も解明することができたことから, おおむね順調に進展していると考えている.

今後の研究の推進方策

最終年度は, これまでの研究成果をまとめ上げるための実験を遂行する予定である. プロテアソームとアミノペプチダーゼの相互作用に関する分子メカニズムや, アミノペプチダーゼによる細胞内代謝制御メカニズムなど追求したいと考えている. これらの実験成果からタンパク質・アミノ酸代謝制御による骨格筋維持機構の解明につなげていきたい.

次年度使用額が生じた理由

他の競争的資金の獲得により試薬等の購入費用に差が生じた. 翌年度の予算は, これまで明らかにすることができた成果の分子メカニズムを解明するため使用する. 特に新しい研究領域への発展が期待されることから多くの試薬等の購入が必要となる見込みである.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Reduced PHOX2B stability causes axonal growth impairment in motor neurons with TARDBP mutations2021

    • 著者名/発表者名
      Mitsuzawa S, Suzuki N, Akiyama T, Ishikawa M, Sone T, Kawada J, Funayama R, Shirota M, Mitsuhashi H, Morimoto S, Ikeda K, Shijo T, Ohno A, Nakamura N, Ono H, Ono R, Osana S, Nakagawa T, Nishiyama A, Izumi R, Kaneda S, Ikeuchi Y, Nakayama K, Fujii T, Warita H, Okano H, Aoki M
    • 雑誌名

      Stem Cell Reports

      巻: 16 ページ: 1527~1541

    • DOI

      10.1016/j.stemcr.2021.04.021

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ペプチド分解酵素アミノペプチダーゼによる筋芽細胞の分化制御2021

    • 著者名/発表者名
      長名シオン, 永富良一
    • 学会等名
      日本体力医学会
  • [学会発表] Puromycin-sensitive aminopeptidase is involved in myogenic differentiation through cell polarity regulation2021

    • 著者名/発表者名
      長名シオン
    • 学会等名
      日本分子生物学会
  • [備考] PHOX2Bの発現低下がTARDBP遺伝子変異による運動ニューロン突起長短縮につながる

    • URL

      http://www.neurol.med.tohoku.ac.jp/cgi-bin/uptodate/webdir/277.html

  • [備考] 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の新しい病態関連候補因子を発見

    • URL

      https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20210525_01web_als.pdf

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公開日: 2022-12-28  

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