研究課題/領域番号 |
20K19492
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐藤 晋太郎 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授(任期付) (50867421)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 幸福感 / ウェルビーイング / Well-being |
研究実績の概要 |
2020年度に計画していた主な研究の目的は、系統的レビュー手法を用いて、(1)観戦型および参加型スポーツとスポーツ消費者の幸福感の関係と、(2)その関係を媒介または仲介する変数を整理することであった。 過去に行われた多くの研究では、スポーツは幸福感の醸成に正の影響を与えることが示唆されているものの、その関係を媒介または仲介する変数の検討は十分に行われていなかった。このように心理的プロセスに切り込んだ研究は、政策立案など社会への実装可能性を考える上で重要な示唆を与える。したがって、先行研究で見落とされてきた媒介・仲介変数を調査する点において、本研究は意義があると考える。 研究実施計画においては、観戦型ならびに参加型スポーツと幸福感の関係をレビューする計画を立てていたが、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、今年度は先に進めていた観戦型スポーツを優先して研究を遂行した。今年度の研究プロジェクトは、綿密な先行研究の検討ののち、実証データ(ラグビーW杯開催都市住民へのオンライン調査)を用いて、概ね順調に進展した。具体的には、スポーツ観戦と消費者の幸福感の関係は、心理的資本(Psychological Capital)が仲介することを明らかにした。また、学術雑誌の投稿・受理も完了し、Current Issues in Tourismにオンライン早期公開中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
観戦型スポーツと消費者の幸福感に関しては、ラグビーワールドカップを研究対象として概ね順調に進展した。上記の研究実績の概要と重複するが、具体的には綿密な先行研究の検討ののち、実証データを用いて、スポーツ観戦と消費者の幸福感の関係が心理的資本(Psychological Capital)によって仲介されることを明らかにした。本研究プロジェクトは、Current Issues in Tourism (IF = 4.15)に受理され、既にオンライン公開されている。 参加型スポーツとスポーツ消費者の幸福感に関するプロジェクトは、未だ着想段階ではあるものの、2021年度に遂行予定であった観戦型スポーツと幸福感の関係モデルの検証は、実証データを用いて一年前倒しで完了することができた。以上のことから、全体として概観すると研究プロジェクトはおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は参加型スポーツと幸福感の関係の解明に注力する。当初はマラソンなどの参加型スポーツに着目して研究を進める予定であったが、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、とりわけ注目されているアウトドアスポーツを研究対象としてプロジェクトを進める。具体的には、アウトドアスポーツへの参加とスポーツ消費者の幸福感に関する先行研究を、系統的レビュー手法を用いて整理する。このプロセスを経てモデルの構築を行なったのち、専門家への聞き取り調査ならびに意見交換会を積極的に行い、より精緻で包括的なモデルに発展させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大のため、2020年度に予定していた研究計画の中でも、出張を伴う計画(専門家への聞き取り調査ならびに意見交換会)の実施を見合わせた。その代わりに2021年度に計画していた出張を伴わない計画(先行研究のレビューやデータ分析)を優先的に行ったため、次年度使用額が生じた。全体としては、研究は概ね順調に進んでいる。
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