研究課題/領域番号 |
20K19493
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
山本 耕太 帝京科学大学, 教育人間科学部, 助教 (30867586)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 運動学習 / 動きの個性の多様化 / 協調パターン / 制御方略 |
研究実績の概要 |
本研究では、スポーツ場面にみられる複雑な運動の学習過程に見られる動きの多様化に着目する。複雑な運動課題の学習過程では、目標を達成できるフォームや動作の選択肢が複数存在することがある。この動きの個性がいつ、どのように獲得され、変遷していくかを解明することは、多様性に富んだ運動学習過程の歩み方を知る手がかりになる。 本研究では、研究全体の構想として、研究1において「動きの個性はいつどのように生じるか」を定量化し、学習の地形図を描き、研究2において「動きの個性は何によって決まるのか」について、課題を達成するための方略の個人差に着目する。研究3において「良い動き、悪い動きはあるのか」について、熟達しやすさの観点から解明する。 本年度の成果として、研究2における動きの多様化の要因について、ジャグリング課題の学習過程のデータを用い、学習初期の多様な個性への分化に関して、制御方略の差異の検討を行なった。特に、複雑な運動の制御を簡易化するアンカリング方略に着目した結果、ジャグリング中にボールを保持している割合で示される、ボール保持率の高低で2つに分類される動きのパターンは、それぞれ、リズム的要素と、空間的要素をアンカーとし、ジャグリング全体の変動性を低下させていることが示された。言い換えると、アンカリング方略という学習者の意図というローカルな要因の差異が、ジャグリング全体の動きというグローバルな振る舞いの差異を生じさせていることが示唆された。 この研究は、複雑な運動の学習過程でみられる動きの個性の多様化に関する共通規則を見出すための一つの手がかりであり、得られる結果は、多様な解決方法や道筋がある学習過程を理解する基礎知見となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的達成のための現在までの進捗状況として、得られた成果を国際誌に投稿し、掲載されるに至っている(Yamamoto & Tsutsui, 2021 in Acta Psychologica)。また、予備的な実験によるデータの取得や、解析用プログラムの作成を行なっており、概ね順調に進めることができている。しかし、本実験を行うに至っていない点から、やや遅れているとの判断に至った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、予備実験データの詳細な検討をもとに、実験条件や解析プログラムの修正を行なった上で、本実験へと移行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、赤外線カメラを用いたモーションキャプチャシステムによる動作解析を行う研究であるが、予備的な実験の段階では、既存のカメラ等を用いて行なった。予備実験データの検討から、実験環境の改善が必要であることが明らかになったため、動作解析用のカメラ等を導入予定である。また、ゴルフスイングパフォーマンスについて、当初の予定通り、弾道測定器を導入し、本実験の実施の準備を行う。
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