研究課題/領域番号 |
20K19494
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
中村 絵美 順天堂大学, 保健医療学部, 助教 (10780223)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 投球障害 / 中学野球 / 成長期 / 投球負荷 |
研究実績の概要 |
成長期野球選手の連投や投球過多が問題視され,障害予防の観点から球数制限やイニング数制限の導入が検討されてきている.これまでに障害発生にどの程度の投球負荷が問題となるのか明確にされておらず,障害予防を行うことが難しいのが現状である.本研究は,発育スパート期にある中学野球選手において,繰り返しの投球動作に伴う肩肘への累積負荷と障害発生との関連を明らかにし,新たな障害発生の予防に繋げることを目的としている. これまでに,肩肘に痛みのない中学野球選手を対象にウェアラブル端末を着用した状態での投球時負荷量の計測を行った.結果,使用球の違い(硬式・軟式)による差が認められ,肘内側に加わる最大外反トルクは硬式選手で有意に高く,平均球速も有意に速い結果が得られた.また軟式選手に比べ硬式選手ではボールリリース時のArm Speedが早く,Arm slot(リリース時前腕角度)が小さい特徴が認められた.先行研究において,少年野球選手においての球速増大やリリース角度の減少は肘内反トルク増のリスクとなることが報告されており,中学野球選手において硬式球使用選手の方が,繰り返しの投球負荷量に留意する必要があることが明らかとなった. さらに1年間フォローアップが可能であったチームの19名を対象に発育の変化に伴う,投球時負荷量について検討を行った.1年間のうち新たに肩や肘に痛みを有した選手は9名(肘痛6名,肩痛3名)の47%に認められた.疼痛出現群と,非出現群の初年度の投球時パラメータを比較した結果,肘最大外反トルクに有意な差は認められなかったものの,疼痛出現群では,投球時ArmSpeedが非疼痛出現群に比べ有意に速い(P<.05)ことが認められた.その他,1年間の身長・体重の変化率の違いによる有意な差は認められなかった.しかし,現在までに得られている対象数が少なく今後も対象数を増やし検討していく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染症の影響により,対象の所属するチーム活動の制限等により,予定していたフォローアップ対象数の確保ができていない状況である.引き続き前向きなフォローアップの対象数の確保に努めている状況である.
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今後の研究の推進方策 |
対象選手の所属するチーム指導者・保護者と連携を行い,測定環境の条件を整えて安全面に十分配慮しながら引き続きデータ数を増やしていく.また,現在までに得られたデータについて分析をすすめ,論文投稿を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
対象数確保が遅れており,データ分析・論文投稿の時期がずれたため,次年度に論文投稿のために使用する予定である.
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