研究実績の概要 |
本研究は、高齢者の下肢筋力の測定方法に着目し、従来の脚筋力計や脚伸展パワー測定器など、高価で専門性の高い機材を使用しない階段駆け上がりテストの可能性を検討することを目的とした。本研究報告はその報告の3年目に該当する。 本年度、階段駆け上がりテストの有用性を確認するため、サルコペニア、ロコモティブシンドローム、フレイルのチェックリストより、関連項目として骨格筋量指数(Skeletal Muscle mass Index:SMI)、Body Mass Index:BMI、握力、2ステップテスト、通常歩行速度と階段駆け上がりテストの関連を検討した。 対象者は女性60名(71±4歳)、男性8名(72±7歳)であった。統計解析の結果、階段駆け上がりテストとSMI(r=0.604,p<0.001)、BMI(r=0.389,p<0.001)、握力(r=0.682,p<0.001)、2ステップテスト(r=0.326,p<0.01)、通常歩行速度(r=0.056,not significant)であった。階段駆け上がりテストは1段~5段の階段を全速力で登るだけで下肢筋力の測定を行うことができる非常に簡便なテストである。今回の結果より、サルコペニア、ロコモティブシンドローム、フレイルのチェックリストの測定項目と関係が認められた点においても本測定方法が下肢筋力の評価の方法として有用である可能性が考えられる。 2023年度は、年齢ごとの階段駆け上がりテスト基準値を作成し、サルコペニア、ロコモティブシンドローム、フレイルに該当する高齢者と該当しない高齢者に関して比較検討を行う予定である。
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