研究課題/領域番号 |
20K19499
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研究機関 | 森ノ宮医療大学 |
研究代表者 |
信江 彩加 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 助教 (70708908)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 末梢神経 / 超音波 / 神経伝導速度 / 神経幹 / 反応時間 / 誘発筋電図 / 性差 |
研究実績の概要 |
ヒトが反応し運動するまでの全身反応メカニクスとその可塑性について解明することで,素早いリアクションが要求される競技や,高齢者の全身反応時間の低下を予防する効果的な運動処方を提供することを目指す.さらに,短い全身反応のための一連のメカニクスを解明することは,ヒト身体運動のパフォーマンスを決定づける中枢・末梢神経系の調節,筋・腱動態のメカニクスやその役割,それらの相互作用についての解明にも役立つ知見になることが期待される. 2021年度は,末梢神経レベルにおいて,神経伝導速度と神経幹の太さの性差による違いを明らかにするため,利き腕,非利き腕や上・下肢で比較し,検討してきた.その結果,女性でみられていた高い神経伝導速度は,後天的な環境要因に影響を受けている可能性を示した.この知見に関しては学会発表を行い,現在,論文執筆中である.さらに,スポーツ競技ごとに異なる運動の特徴が,末梢神経の形態や機能の違いを生み出している可能性を検討するため,バドミントンや剣道,陸上短距離や陸上跳躍などの競技選手を追加分析し,競技特性に関連した末梢神経の後天的な可塑性の検討を進めている.このことは,トレーニングなどの後天的な刺激によって,末梢神経の形態や機能を変化させることができるのか明らかにするための緒となる. また,これまで検討されてきた末梢神経幹レベルの測定から,さらに詳細な神経束レベルでの測定方法を可能とする高解像度画像解析法を確立するため,超音波映像の撮像方法や分析方法を検討中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までのデータを学会発表,論文投稿することはできているが,新型コロナウイルス感染症の影響により,新たな被験者の確保や,次の段階で必要となる測定手法の確立に時間を要している点から,やや遅れているとした.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,末梢神経レベルで特徴が得られた競技種目に絞って,末梢神経のより詳細な測定や,上位中枢レベルでの伝導時間の関連性を調査し,反応メカニクスの可塑性について明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響による被験者の確保の難しさから,測定手法の確立に時間を要していること,さらに半導体不足の影響によって機器のデモ等も実施できなかったため,本年度購入予定であった機器や,測定にかかる費用を次年度に繰り越すこととした.
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