研究課題/領域番号 |
20K19500
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研究機関 | 神戸医療福祉大学 |
研究代表者 |
橋本 泰裕 神戸医療福祉大学, 人間社会学部, 講師 (00779259)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 流れ / ボール・ストライクカウント / 動作 / オープンデータ / 野球 |
研究実績の概要 |
2021年度は本研究の中核となるパフォーマンス-環境相互流れモデルを提案するための、基礎的な研究を継続した。この研究は、2015年から2019年の間にMLBで投球した580人の投手をBaseball Savantから取得し、ボール・ストライクカウントと投手のリリースポイント(ボールを放す三次元位置)、リリース速度、ボールの回転数の関係性を検討するというものである。この結果、ボールカウントの増加に伴い、投手のリリースポイントは低くなり、前方に移動する傾向がみられた。ストライクカウントの増加に伴い、投手のリリースポイントは(右利きの投手の場合)左側になるという傾向がみられた。また、ボールカウントが増加するにつれて、リリース速度は遅くなり、ボールの回転数は低下した。ストライクカウントが増加するにつれて、リリース速度は速くなり、ボールの回転数が増加した。この研究は現在、雑誌への投稿を行い査読者とのやり取りを行っている。この原稿が受理され次第、本課題の中心となる介入実験を開始する予定である。 また、ボール・ストライクカウントを野球選手はどのように認知しているかという調査を行った。調査対象者は大学の野球部に所属する544名の選手であった。選手はアウトカウント、ボールカウント、ストライクカウント、ランナーの位置を組み合わせた合計288種類の試合状況に対し、7件法(1. とても打者が有利-7. とても投手が有利)での回答を行った。因子分析の結果、4因子36項目の抽出が行われた。因子は第1因子が “打者有利のカウント”、第2因子が“投手有利のカウント”、第3因子が“2アウトの若いカウント”、第4因子が “0アウトの若いカウント”と命名している。次年度は介入実験と共にこの研究の執筆を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
原稿の投稿を2020年12月に行ったが、雑誌からの査読結果の回答は2021年9月であった。査読者の選定に時間がかかったとのことである。介入実験の進捗状況としては、まずデータ取得方法の再検討を行った。この結果、新たな機器を使用することで、データの欠損値を大幅に減らすことが出来ると考えられるため、この機器の使用を行うこととした。次に、実験参加を頂ける予定のチームとの具体的な実験可能な時期の調整を行った。この中で2021年度も新型コロナウイルスの影響や、試合の日程などの情報を共有した。この他、倫理審査書を作成し学内の審査を通過した。本実験の基礎となる論文の受理前に前倒しして介入実験の実施を検討したが、新型コロナウイルス等の影響で実験の実施が難しい状況であった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は介入実験を実施する必要があると考えている。現状は、実験時の使用機材の見直しを行い当初の計画よりも、データの欠損数を抑えることが出来る予定である。ただし、介入実験に約3週間の継続的な参加が必要となる本研究では、新型コロナウイルスの影響に配慮し実験を行う必要がある。また、投稿中の論文の受理を目指し、昨年調査を行った研究を雑誌に投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響等により実験を行うことが出来なかった。また、この期間にデータ計測機器に関する再検討を行った。このため、データ計測機器を年度内に購入することが出来ず、次年度に持ち越すことが有益であると考えた。
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