研究課題/領域番号 |
20K19514
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
関根 悠太 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 助教 (80761353)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 成長 / コンディショニング / 内分泌応答 / 外傷・障害予防 / 若年者 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,成熟度の個体差が著しい年代における運動能力,運動器の形態および内分泌機能(ホルモン応答)の成長に伴う変化と運動に対する適応について明らかにすることである.本年度は前年度に公表した研究発表から得られた学術的課題である運動・トレーニングの適応に成熟度の個体差が及ぼす影響について明らかにするために,取得済みの唾液サンプルを用いて異なる成熟度群(大学生,post PHV,pre PHV)における運動に対する一過性のホルモン応答(テストステロン,コルチゾール,成長ホルモン)について分析し,身体の同化状態に重要な役割を持つホルモンのトレーニング応答は、個体の成熟度によって異なる可能性があることを国際誌にて報告した. また,新型コロナウイルス感染症に対する様々な方針,対応の影響によって計画的な測定および長期的な運動介入が引き続き困難となる可能性が考えられていたことから,若年アスリート(U22バスケットボール競技者)のスポーツ外傷・障害に関する調査を行った.本研究は研究計画段階において含まれていなかったものであるが,前年度の研究推進方策として報告したものである.結果,日本人男子大学バスケットボール競技者はNCAA男子バスケットボール競技者に比べて高い外傷・障害発生率を有し,特に足関節捻挫については発生率が2.1倍であったことが明らかとなった.一方で,スポーツ現場での判断,対応が重要とされる脳振盪の発生率はNCAAに比べて約1/3の発生率であった.日本のスポーツ現場における医学的環境の充足度が本研究の結果に大きく影響を及ぼした可能性について,国際誌にて報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度中の受理が計画された異なる成熟度群における運動に対する一過性のホルモン応答に関する研究は予定通り国際誌にて公表された.現在は成長期アスリートの運動に対する一過性のホルモン応答について,同一個体内の縦断変化に関する論文を執筆・投稿中であり,2022~2023年度の受理を目標としている. 一方で,前年度同様に新型コロナウイルス感染症に対する様々な方針,対応の影響を受けて従来の研究計画に遅れが生じている.調査①で予定していた縦断測定の一部および調査②で実施予定であった中長期的なトレーニング介入と測定,サンプル採取の延期は本年度においても継続しているが,2022年度末での調査再開について対象者およびその関連団体との検討段階にある.
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今後の研究の推進方策 |
調査①(成長に伴うホルモンのトレーニング応答の変化)については現在執筆を行っており,2022年度中の受理を目標としている.調査②(長期的なトレーニングの介入によるホルモン応答の変化)については状況を鑑みた実施を予定しているが,対象者が未成年であることから万全な対策を整えることを前提条件として慎重に研究を進めていく. 若年アスリートのスポーツ外傷・障害に関する調査については,2020-2021シーズンのデータと論文発表を行った2013-2019シーズンの結果を比較することで,COVID-19による環境変化がスポーツ外傷・障害の発生率や分布に及ぼした医学的な影響について分析し,論文発表を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に引き続き,COVID-19に対する方針,対応による研究活動(対象者の募集,測定,サンプル採取および分析,国際学会等の発表)の制限や延期に起因する.購入予定であったホルモン分析に用いるキットは推奨される使用期限があり,長期保存を行うことが困難である.状況を鑑みた実施を予定しているため,当初の予定分は2022年度以降分と併せて今後購入を行う.学会の参加費や旅費等についても,状況が改善次第順次発表を行っていく.また,COVID-19環境下におけるスポーツ外傷・障害の予防に関する研究の国際誌投稿費および掲載費への充当を予定する.
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