本研究は、足関節捻挫および足関節捻挫受傷後に生じる慢性足関節不安定症(CAI)を予防するために、インソール療法の足部に対する運動学・運動力学的効果の検討を行った。 2020、2021年度を通じて、CAI例に対するインソール療法の即時効果の検討として、歩行、片脚着地、トラップドアの動作解析を実施した。結果として、歩行においてCAI例では後足部の可動範囲が拡大しており、インソール療法による可動性の減少効果が確認された。一方で片脚着地やトラップドアでは運動学的変化が認められなかったものの、インソール使用により、着地に安定感を訴える対象者は多い結果となった。 そのため本年度は、昨年度実施しているCAI例に対するインソール療法の効果の即時効果の検証について、足部の協調的運動に着目して検討を行った。MVCT法を用いて後足部の内返し・外返し運動と内外転運動のcoupling angleを算出し、協調的に運動が行われているかを判定した。その結果、後足部の内返しと内転、外返しと外転が協調的に運動しやすくなる傾向は認められたものの、有意にインソール療法で足部の協調的な運動を促すことはできなかった。 本研究の課題としては、インソールのパーツは既製品を使用し全例同じ高さもののを使用した。そのためカスタムされたインソールの効果が得られなかった可能性がある。また即時効果の検討にとどまったため、長期的な足部への影響についての検討はできていない。今後はカスタムインソールによる長期効果の検討を行っていく必要がある。
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