研究課題/領域番号 |
20K19534
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
辻 大士 筑波大学, 体育系, 助教 (90741976)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スポーツ観戦 / ボランティア / 介護予防 / 認知症予防 / テレビ・インターネット / 日本老年学的評価研究 |
研究実績の概要 |
本研究では高齢者を対象とした大規模縦断疫学調査を実施し、1)「する」スポーツが多い地域では「みる」「ささえる」スポーツに参画する高齢者も多いのか、2)高齢者の「みる」「ささえる」スポーツを促進・阻害する要因は何なのか、3)「みる」「ささえる」スポーツは認知症予防や要介護化予防に寄与するのかを検証することを目的とする。 令和2年度は、主に課題1)に取り組んだ。応募者が所属する日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study: JAGES)が2019年12月~2020年1月に実施した、全国約60市町村・約40万人(「みる」「ささえる」スポーツ項目は1/8に無作為送付のため約5万人)を対象とする郵送調査データを用いた横断研究を実施した。地域単位で集計したスポーツ関係のグループへの参加割合を説明変数、「みる」「ささえる」スポーツへの参画を目的変数とした、地域相関分析ならびにマルチレベル回帰分析を行った。 その結果、スポーツ関係のグループへの参加割合が高い地域では「みる」「ささえる」スポーツへの参画が多い傾向は確認されたものの、交絡と考えられる要因を調整したマルチレベル回帰分析においては有意な関連性は確認されなかった。引き続き、性や年代で層別した追加分析を行っている。 また、同データを用いて、現地やテレビ・インターネットでのスポーツ観戦頻度している者は、していない者と比較して“うつ”を有するリスクが低いことを明らかにし、英文誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画どおりのデータ整備が完了し、想定した分析も順調に進んでいる。既存データを用いた論文執筆も予定通りに進み、まもなく英文誌にpublishされる見込みである。 以上のとおり、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に、改めて約60市町村・約40万人を対象とした追跡調査を実施予定であるため、令和3年度はそれに向けた準備年として位置付けている。調査参加市町村への説明会を実施することや、調査票を設計することなどが具体的な内容である。 それとともに、令和2年度に実施した分析結果を論文としてまとめ、英文誌に投稿予定である。具体的に、「ささえる」スポーツの促進・阻害要因の探索として、人口統計・生物学的要因、心理・認知・情緒的要因、行動要因、社会・文化的要因、環境要因の各要因との関連性を網羅的に検証する。これにより、高齢者の「ささえる」スポーツへの参画が多い(普及促進しやすい)集団と、参画が少ない(手厚い支援が必要な)集団がそれぞれ明らかになり、戦略的に「ささえる」スポーツの普及促進を図るための手がかりが得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費として計上していた額が、新型コロナウイルス感染症の流行により多くがキャンセルあるいはオンライン開催となったため、次年度使用額が生じた。次年度は徐々に現地開催の用務が再開される見込みなので、改めて旅費として執行する計画である。
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