研究課題/領域番号 |
20K19536
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
栗林 千聡 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツメディカルセンター, 契約研究員 (50866316)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | イップス / 競技不安 / アスリート / 不安 |
研究実績の概要 |
イップスとは,これまで当たり前にできていたプレイがある日突然できなくなる症状のことであり,選手のパフォーマンスに大きな影響を与え,選手生命をも脅かす重大な問題である。本研究は,イップスの実態を把握し,心理社会的治療の基礎を築くことを目的としている。この目的を達成するために,今年度はイップスの有病率を推定するためのイップスチェックリストを作成した。 イップス操作的定義基準案 (栗林ら, 2019) を参考に,公認心理師または臨床心理士の資格を保有する大学教員2名とイップスの選手のカウンセリング経験のあるSMT指導士の協議によって項目を作成した。準備した項目について,4名(スポーツ精神科医1名,不安症に対する認知行動療法に精通している大学教員1名,神経内科の専門家1名,イップスの選手のカウンセリング経験のあるSMT指導士1名)で評定し,一致率が100%であった項目を選定した。 大学生アスリートを対象として,イップスの項目について探索的因子分析を行った結果,2因子(ジストニア・不安)10項目が抽出された。妥当性を検討するために,スポーツにおける競技特性不安尺度 (TAIS; 橋本ら, 1993)との関連を検討したところ,中程度の相関が認められた。 本研究は,イップスに対する実証に基づく支援と研究の土台が整備され,選手に対する心理社会的支援の充実化がさらに加速することが期待される。次年度は,イップスチェックリストの精緻化およびイップスとメンタルヘルスの関連を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備調査を終え,イップスチェックリストの作成を実施できている。 おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後はイップスチェックリストを精緻化し,作成した尺度を用いてメンタルヘルスとの関連を検討する。COVID-19の影響によって,対面による構造化面接を実施できない場合は,インターネット調査に変更して実施することで対応する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、国際学会への参加ができなかったこと、予定していた対面での調査の実施ができなかったために、次年度使用額が生じた。 次年度以降はインターネット調査を用いて、前年度分を使用する予定である。
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