研究課題/領域番号 |
20K19549
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
越澤 亮 日本大学, 経済学部, 講師 (80822791)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | サッケード / パーシュート / 眼球運動 / 視線 / 脳波 / 頭頂領域 / 予測 |
研究実績の概要 |
これまでに,ターゲットを捉えるために行うパーシュートやサッケードなどの眼球運動そのものを遂行するのに必要な脳機能は明らかになっている。しかし実場面では,移動ターゲットの〔軌道〕〔到達位置〕〔到達時間〕などの予測を伴いながら眼球運動する必要があるが,その時に必要な脳機能について現時点では十分なエビデンスが蓄積されているとはいえない。そこで本研究では,移動ターゲットの〔軌道〕〔到達位置〕〔到達時間〕予測時における,ターゲットに向けられた視線の位置情報と脳波活動様式の関連性を,視線計測器と脳波による高い時間分解能で同時計測することで検討していく。本年度は,放物線を描きながら途中で見えなくなる移動ターゲットの〔軌道〕予測時における視線の位置情報と脳波活動様式を検討した。その結果,移動ターゲットの動き始めに対する眼球運動であるキャッチアップサッケード,およびターゲットが見えなくなってから急速眼球運動(サッケード)が認められた。これらのサッケードが生じた時に,右半球の頭頂領域においてlow beta帯域の脳波周波数に活動が認められた。このことから,移動ターゲットの〔軌道〕予測に必要な眼球運動は,パーシュートだけではなく,サッケードも必要であることがわかった。また,ターゲットが見えなくなった時に活動した右半球の頭頂領域によって,見えなくなったターゲットがあると思われる位置に注意を向けることで,ターゲットの軌道予測が行われるものと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は,視線計測器のサンプリング周波数と課題を提示するディスプレイのリフレッシュレートを同数に揃えられていなかったが,100Hzに揃えて特注できることの調整がついた。本研究のように,同時に計測する脳波データをより活かすためには,脳波のサンプリング周波数(1000Hz)に合わせて,視線計測のサンプリング数や課題を提示するディスプレイのリフレッシュレートを100Hzあるいはその倍数にそろえる必要がある。しかし,特注した視線計測器の調整に予想よりも多くの時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,移動ターゲットの〔到達時間〕予測時における視線活動と脳活動様式を検討する。本年度の課題のように〔軌道〕を予測するだけではなく,次年度は〔到達時間〕を予測して反応する要素も加える。特に,〔到達時間〕を予測して上肢で反応する要素が加わると〔軌道〕予測にどのような影響が出るのか焦点を充てて検討する。引き続き特注した視線計測器の調整も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
視線計測器を計画より少額にて購入できたため,年度内に当該予算を消化できなかった。脳波計測に必要となる消耗品費として使用する予定である。
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