本年度の研究は、運動による骨格筋でのアポリポ蛋白(アポ蛋白)C2を介した脂質代謝機構について主に注目し実施した。我々のマウスによる先行研究では、これまで報告のなかったアポ蛋白C2が骨格筋に存在し、2週間の自発運動によりアポ蛋白C2が増加することを見い出した。また、これまで自発運動6週間の期間でマウス脂肪肝が改善、すなわち脂質代謝が改善することが報告されていることから、自発運動期間を6週間へ延長し実施した。野生型マウス(C57BL/6J)を6週齢から6週間通常食にて経過観察し、12週齢から通常食かつ6週間コントロール群もしくは回転ホイールを用いた自発運動群の2群へわけ実施した。6週間のコントロールもしくは自発運動の結果、コントロール群では体重増加したが、血液中の脂質(総コレステロール、中性脂肪)変化を認めなかった。一方、自発運動群では、コントロール群と比較して、体重が低下傾向を示し、血液中の脂質(総コレステロール、中性脂肪)低下を有意に認めた。骨格筋において、アポ蛋白C2のmRNAレベルは腓腹筋、ヒラメ筋などでコントロール群と比較し、 2-5倍程度の上昇を認め、その存在と運動による増加が我々の先行研究と同様に得られ、再現性を確認した。引き続き、その脂質代謝メカニズムの解明のため、まずアポC2の上流因子と言われる因子や運動による発現が増強すると言われる因子などにおいてmRNAレベルで確認し、次に蛋白レベルでの評価を行っていく。
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