研究課題/領域番号 |
20K19562
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
奥田 知靖 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90531806)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 戦術能力 / 創造性 / 子ども / ボールゲーム |
研究実績の概要 |
本研究は,幼児から小学校低学年児童を対象とし,子どもの年代において必要な一般的戦術能力に着目し,この中でもボールゲームの戦術的創造性の評価システムを構築することを目的としている.目的を達成するための本年度の課題は次の3つであった. 第一の課題は,幼児から小学校低学年児童を対象とした多くのボールゲームに共通する戦術課題を含んだ一般戦術能力を評価する新たな戦術課題を作成することであった.第二の課題は,戦術課題における子ども戦術行動から,戦術的創造性を評価する質的評価基準を作成することであった.第三の課題は,子どもの戦術行動の質的評価の補助手段として,コート上の位置情報を基にした量的評価基準を作成することであった. 本年度の成果は,第一の課題に対しては,子どものボールゲーム指導に関する指導書・論文を精査し,評価可能な戦術課題を抽出したことである.第二の課題に対しては,戦術能力(創造性を含む)の質的評価のおける評価者間の一致度を検討したことである.第三の課題に対しては,児童の戦術的行動における客観的評価指標として,ボールと児童の距離,児童の移動速度,ボールと児童がなす角度を算出し,評価指標としての妥当性を検討したことである. これまでの戦術能力に関する研究では,特定の競技種目が取り扱われることが多く,多くのボールゲームに共通する一般的戦術能力を扱った研究は少なかった.近年では,ボールゲーム種目における指導の早期多様化が提案されつつあることから,多様な種目に発展する一般的戦術能力の育成は重要であると考えられる.また先行研究では,戦術的創造性を扱ったものは少数に限定され,とりわけ幼児期を対象とした研究は確認できない.したがって本年度の取り組みは,一般戦術能力の戦術的創造性の評価システムを構築する上での基礎的資料として位置づけられ,今後の研究を推進するうえで意義があると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は,新型コロナウイルス拡大の影響によって,様々な業務における予定の変更があり,本研究に必要な実験・調査が制限された.特に,作成した戦術課題・評価の試験的実施においては,指導現場で児童を対象としたものであるため,当初予定したフィールドが確保できないことがあったが,現在では別のフィールドを調整できているため,今後研究を推進していくことができる.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では,2020年度の後期には,「戦術課題・評価の試験的実施」が予定されていたが,若干の実施計画の遅れが生じている.この部分については,現在では,当初予定したフィールドとは別のフィールドを確保したため,本研究を進めることができる.このため,2021年度前期の早期のうちに,前年度の遅れを取り戻すことができると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,新型コロナウイルス感染拡大の影響により,予定が変更され,学会出張費および調査実施における謝金業務ができなかったためである.使用計画は,主に調査における謝金業務に使用する予定である.
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