研究実績の概要 |
エネルギーバランスがエネルギー摂取量とエネルギー消費量の関係性で示されるように, エネルギー消費量の多い人ほどエネルギー摂取量を保持するために多くの食物を胃腸を使って消化吸収する必要がある. しかしながら, これまでにアスリートにおいて,運動によるエネルギー消費量,総エネルギー消費量の個人間比較を胃腸の消化吸収能力を用いて説明している研究はない. また, 経験的にもエネルギー摂取量が多い(よく食べる)アスリートは身体活動のエネルギー消費量が高いことはよく知られているが,その関連性は明らかではない. 本研究は安定同位体をトレーサーとして用いたときの消化吸収能力の評価法の検証および,その評価法を用いたときに胃腸の消化吸収能力と二重標識水法を用いて得られる総エネルギー消費量との関係性を明らかにすることを目的としている. 消化吸収の異なることが予想される体格の異なる対象者に協力いただき研究を進めた. 実際に, 体格の大きなアスリート(体重が100kg以上)と小さなアスリート(体重が50kg以下)の総エネルギー消費量がどの程度であるか調査を行った. これら取得した尿サンプルの安定同位体比質量分析は既に終了している. 加えて, これらの二重標識水による総エネルギー消費量の研究に関連した原著論文を複数発表することができている. 消化吸収能力を規定するため, 13C炭素安定同位体をトレーサーとして使用し, 高感度質量分析計を用いた妥当性の検証を行った. また, メタボリックチャンバーのシステムを使用することで, 13C炭素安定同位体が体内にてピークに達するまでの時間を経時的に可視化することが可能であることを確認することができた. 対象者内再現性試験も実施しており, 良好な結果を得ることができているが, 追加でデータを取得するように計画している.
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