成長期野球選手の投球障害は不良な投球動作が原因の一つである。さらに、成長期は成人と比較し身体が発育途上であるため、本来良好な投球動作であっても投球数が増加するに伴い不良な投球動作へ容易に変化することが予測される。その中で投球数増加に伴って不良な投球動作へ変化していく原因は、数値化されにくい「疲労」として解釈されている。本研究は、成長期野球選手の投球動作を、ハイスピードカメラを用いて三次元動作解析を行う。さらに身体機能を測定し、投球数の増加により投球動作が変化する「原因」を明らかにする。さらにその原因を改善するためのプログラムを立案し、その効果を検証することを目的としている。 2020年度は、新型コロナウイルスの感染防止のため、衣服の着脱やマーカー貼付などの接触を伴う投球動作解析は中止した。その中で対象チームの投球障害発生状況、練習状況の調査ならびに超音波画像診断装置を使用した筋機能検査を実施した。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大によりチーム練習が著しく制限された期間が生じ、練習量が2019年度までと比較し大幅に減少した。その中で肩肘に関する障害は減少し、成長期野球選手において最も予防すべき投球障害肘(肘離断性骨軟骨炎)の発生は認められなかった。 2021年度はハイスピードカメラを用いて中学生野球投手の投球動作を撮影し、三次元動作解析ソフトを使用して投球動作の解析を行う予定である。また、投球数が増えていくにつれて投球動作がどのように変化するか明らかにする。
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