研究課題/領域番号 |
20K19577
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
室伏 由佳 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (60740529)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | サプリメント / アンチ・ドーピング規則違反 / ドーピング / アンチ・ドーピング教育 / 世界アンチ・ドーピング規程 / 意図しないドーピング違反 |
研究実績の概要 |
大学生アスリートのアンチ・ドーピング学習意欲と知識との関連について原著論文としてまとめ、国際ジャーナルに投稿し受理・掲載された。また、アンチ・ドーピングに対する主観的知識と客観的測定知識との関連について原著論文としてまとめ、国際ジャーナルに投稿した。その他にも調査研究を進めた。具体的な進捗状況として、日本において増加傾向にあるサプリメントによる規則違反に着目した調査をおこなった。国際研究では、サプリメントを使用するアスリートは、使用しないアスリートと比較して、サプリメントがもたらすパフォーマンス向上等の効果や有効性に対する信念が強く、ドーピングに陥るリスクが高いことが明らかにされている。そこで、大学生アスリートを対象にサプリメントに関するドーピングの注意喚起映像の介入がサプリメントに対する信念に及ぼす影響を検討した。サプリメントを使用している68名、使用していない49名の大学生アスリートを対象に、ランダム化比較試験を行った。対象者はランダムに割り当てられ、介入群はサプリメントに関する注意喚起映像(6分間)を、対照群はダミー映像を視聴し、視聴前後にスポーツサプリメント信念尺度(SSBS:6項目1因子構造、得点範囲6-36点、得点が高いほど信念が強い)を測定した。分散分析の結果、介入前後のSSBS得点に交互作用が認められた(p<.01)。事後分析の結果、介入群のSSBS得点は、サプリメント使用有無に関わらず、介入前20.48±5.71点から介入後17.87±6.59点へと有意に低下した(p<.001)。サプリメントに関するドーピングの注意喚起映像は、サプリメント使用の有無に関わらず、大学生アスリートのサプリメントへの信念を低減できることが明らかとなった。主な学術的成果として、得られた知見を国内の学会で発表を行った。更に英文論文としてまとめ、学術雑誌への投稿を試みる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画は、研究1禁止物質に対する確認行動の実態解明と、アンチ・ドーピングに対する学習意欲の実態把握、そして、研究2大学生アスリートの禁止物質に対する確認行の促進/阻害要因の解明である。これらに関連する背景として、大学生アスリートのサプリメントによる意図しないドーピング違反に関連する調査を行った。また、アンチ・ドーピングの知識を測定する質問紙の開発も試みた。さらに、未公開ではあるが、ドーピング検査に対応するような競技レベルのアスリートを対象としたインタビュー調査により、薬やサプリメント使用時の確認状況等に関する調査も完了しており、研究計画はほぼ予定通り進展した。そのため、研究の進捗状況としては「おおむね順調に進展している」状況である。
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今後の研究の推進方策 |
3年目の研究において明らかとなった、大学生アスリートのサプリメントに対する信念とサプリメント使用時の禁止物質を確認する行動面の実態を踏まえ、次年度は更なる背景検証を目的に調査を進める。具体的には、大学生アスリートがサプリメントに起因する意図しないドーピング違反に陥らないための糸口をつかむために、サプリメントに対する信念にフォーカスした調査を検討する。これまでの研究において、アスリートはパフォーマンス向上や回復のために、様々な種類のサプリメントを使用することが確認されている。一部のサプリメントには、禁止物質が含まれている場合がある。ゲートウェイ理論によると、最初に比較的安全で合法的な薬物を使用することから始まり、その後、より強力で危険な薬物に移行する傾向があるとされている。同様に、アスリートがはじめにサプリメントを使用し、それがドーピングの使用につながることが明らかにされている。これらのことから、アスリートが不用意なサプリメント使用を行わないために、どのような媒介変数が存在するのかを検討する必要がある。これらを明らかにすることで、意図しないアンチ・ドーピング規則違反を予防するための方策の検討に寄与する。調査の結果は国内外の学術集会における発表および論文化を行い公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、計画していた国内および国際学会の移動、渡航が中止となったため、計上していた交通費及び渡航費などの予算の執行がなかったため。
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